2021年 重点政策

1.新型コロナ感染症災害からの生活再建
1)消費税3年間ゼロ、財源は内部留保への課税

 新型コロナウイルスの感染拡大が続くなかで、多くの人々が苦しい生活に追い込まれています。失業者は211万人に及び、完全失業率(5月)は3.0%と16ヶ月連続で増加中です。緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が繰り返されるなかで、コロナ禍による解雇・雇い止めが累計11万人を超え(7月9日時点)、事業主都合の離職が止まりません。そのなかでも大きな影響を受けているのはパート・アルバイトなど非正規で働く人、とくに女性たちです。弱者である非正規労働者にしわ寄せされているのです。

 こうした人たちを支える政府の対応は決定的に立ち遅れています。社民党はコロナ禍からの生活再建のため、消費税の3年間ゼロ税率を提案します。消費税の減税は、幅広く消費者に恩恵を行き渡らせることができます。課税の再開にあたっては、本来の役割であった社会保障財源として検証を行い、税制全体の改革をすすめます。

 なお、消費税3年間ゼロ税率の財源として、企業の内部留保(利益剰余金)に臨時に課税します。コロナ禍で厳しい状況にある企業もありますが、いわゆる「巣ごもり需要」、「テレワーク需要」などで莫大な利益を上げている企業もあります。コロナ禍でも増え続ける内部留保に課税することで、困窮する生活と社会の底上げをはかります。

 

 

2)大企業・富裕層への課税強化と社会保険料の軽減

 規制を緩和し大企業や富裕層を優遇し経済活動を活発化させることを重視するトリクルダウンの経済政策(アベノミクス)は失敗しました。富める者が富めば、その富がしたたり落ち(トリクルダウン)て貧しい者にも行き渡り、国民全体の利益になるという政策でしたが、現実には企業が利益を貯め込み富める者と貧しい者の格差が拡がっただけでした。社民党は賃金アップや社会保障の拡充による「ボトムアップの経済政策」を提案します。

 税金には主に①公的サービスの財源を調達する、②所得や資産を再分配する、③景気変動を小さくして経済を安定化させる、などの機能がありますが、この間の新自由主義注)的な政策のなかでその役割が弱まっています。所得課税の累進(所得が多いほど税率が高くなる)性は弱まり、法人税率は下がり続けています。社会保障財源とされた消費税の増税分の多くは企業減税や富裕層の減税の穴埋めに使われています。必要な公共サービスや福祉をしっかりと提供し、その財源を税を負担する力のある大企業や富裕層に求めるのが、社民主義の経済政策の基本です。

 

注)新自由主義(ネオリベラリズム): 国家による福祉・公共サービスの縮小(小さな政府、民営化)と、大幅な規制緩和、市場原理を重視する考え方。自由主義や社民主義と対立する。

 

3)公的責任を強化。休業要請は保障とセットで

 緊急事態宣言、まん延防止等重点措置によって、飲食店等に休業、時短営業等の自粛を要請する場合には、損失に対する国の補償をセットで行います。正規労働者、非正規、自営業者、フリーランスも等しく損失補償を行います。

 緊急小口資金(休業者向け)、総合支援資金(失業者向け)の特例貸付を拡充するとともに、長引くコロナ災害によって返還が困難な方が多重債務に陥らないよう償還免除の条件を緩和します。現在、返済を必要としない生活困窮者自立支援金がありますが、これは特例貸付の利用が前提です。そもそも返済の目途が立たない等の理由で特例貸付を利用できない世帯が多数です。そうした生活困窮者に緊急に特別給付金10万円を支給します。低所得の子育て世帯に対する生活支援特別給付金を速やかに支給します。

 離職等により住居を失いかねない方に対する住居確保給付金の支給期間を撤廃して普遍的な家賃補助制度へ改変します。民間のアパート空き室を借り上げ、現物給付を行うなど、住まいの公的支援を実施します。

 

 

4)利用しやすい生活保護制度に変える

 社会の底が抜けたかのように生活困窮者が増えています。最後のセーフティネットである生活保護制度を権利として活用できるよう行政に徹底します。各市町村の福祉事務所窓口で生活保護申請者を追い払ったり、申請書を提出させないよう誘導する“水際作戦”を止めさせます。“水際作戦”をなくすために、生活保護制度のオンライン申請の導入を検討しすすめます。

 また、自治体が申請者の扶養義務者(民法上)に対して扶養できるかどうかを問う照会が、生活保護申請をためらわせる一番大きなハードルです。扶養照会を避け、申請を躊躇し栄養失調や病気、自殺に至るケースも少なくありません。生活保護法上、扶養は生活保護の要件ではないことを行政に徹底し、親族へ連絡されたくないという申請者の意向を尊重します。申請者の同意がなければ扶養照会をしてはならないという通知を各自治体に出すよう厚生労働省へ働きかけます。また、この間引き下げられてきた生活扶助費を引き上げます。

 

 

5)医療機関、介護・医療従事者を支援。地域医療を守る

 政府の長年にわたる医療費抑制政策に加え、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、医療現場が危機的な状況にあります。受診・入院ができない感染者が自宅や施設で亡くなる件数が増え、医師、看護師などの過密過重労働は限界を超えています。一般診療にも影響は及び、医療崩壊が現実味を帯びています。

 病床が足りないと悲鳴が上がっているなか、政府は先の通常国会で、病床削減を加速化するための国の補助金事業(財源は消費税)を法定化する医療法等の改定を成立させました。その対象とされているのは、2019年に再検証対象医療機関としてリストで名指しされた公立・公的病院(当初424カ所/現在436カ所)です。病床確保が課題の新型コロナ対策と矛盾する補助金事業の改定と対象436医療機関のリストの撤回を求めます。公立・公的病院の統廃合に反対し地域医療を守ります。

 今後も新興感染症が予想されます。これまで削減してきた保健所、保健師の数を増やし、公衆衛生の強化に取り組みます。医療崩壊をくい止めるために、国の負担を増やして、医療費総枠を拡大します。

 

 

2.格差・貧困の解消
6)非正規雇用に歯止め。雇用の安定を実現

 雇用の原則は、期間の定めのない直接雇用であることを基本とします。非正規労働の拡大に歯止めをかけ、正規労働への転換を進め、雇用の安定を実現します。労働者派遣法を抜本改正し、派遣労働は一時的・臨時的な業務に厳しく制限します。労働契約法の無期転換ルール(有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えた時は、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約に転換できるルール)が守られるよう事業所に徹底します。無期転換直前での雇止めを許しません。

 公務労働の非正規職員化が進んでいることも大問題です。コロナ危機により、生活困窮、失業・求職、児童虐待、DV被害など、支援を求める人びとが急増していますが、行政でその受け手となっているのは多くが非正規職員です。自らも雇用の不安を抱え、公務で得た経験や知識の蓄積を活かすことが難しいのです。単年度雇用を厳格化した会計年度任用制度を抜本的に見直します。公務サービスの担い手の確保、質の向上のために公務労働の非正規化に歯止めをかけます。

 

 

7)最低賃金を全国一律1500円/時に引き上げ

 全国各地の最低賃金を一律で時給を28円引き上げる方針が、7月の厚労省「中央最低賃金審議会」で決まりました。2002年度以降では最大の引き上げ幅で、全都道府県の最低賃金がようやく時給800円を超えることになります。社民党は、大都市一極集中を見直し、地域経済を活性化するためにも最低賃金制を現在の地域別から全国一律に転換すべきと主張しています。時給1,000円を実現し、さらに安定した生活を確保できるよう時給1,500円をめざします。あわせて中小零細企業に対する充分な支援策を一体的に行います。

 ILOが示す同一価値労働・同一賃金原則(ILO第100号条約/1967年に日本批准)に沿った職務評価(知識・技能、責任、負担度、労働環境)の手法で、日本でも同一価値労働・同一賃金の原則の研究開発を行い、その徹底と法制化に取り組みます。 “残業代ゼロ”の裁量労働制の適用拡大を許しません。解雇規制の緩和など労働者保護ルールの改悪を阻止します。

 

 

8)高等教育までの教育費の無償化。奨学金は原則給付型

 OECD(経済協力開発機構)の試算によると、日本のGDP(国内総生鮮)に占める教育支出の割合は2.9%に過ぎません。OECD平均の4.1%を下回り、比較可能な38カ国のうち下から2番目という低い水準です。物的資源の少ない日本にとって「人材こそ資源」です。教育にかける予算は無理をしてでも捻出するべきであり、GDP5%水準程度まで拡充をはかる必要があります。

 いまや学生の約半数が奨学金を受給し、多くの人がその返済に苦しんでいます。日本学生支援機構の奨学金は、第二種奨学金(有利子)は例外的な制度として縮小し、第一種(無利子)を中心にすえます。2017年に創設された給付型奨学金は規模を拡大し、新所得連動型奨学金返還制度は対象を拡大したうえで一定期間の返済後は残債を免除する制度を導入します。 「社会人の学び直し」、「リカレント教育」の制度拡充もすすめます。

 また、高校の授業料無償化制度から朝鮮学校のみを外す差別的な取り扱いをやめ、地域での共生をすすめます。

 教育の機会均等は教育を受ける個人だけの問題ではなく、社会全体の利益につながるものです。日本は2012年に遅ればせながら国際人権規約(社会権)13条2項Cを批准し、「高等教育無償化の努力義務」を国際公約としました。高等教育予算を確保し、少なくとも今以上の学費の高騰を防ぎ、段階的にでも無償化をめざす必要があります。

 

 

9)75歳以上の高齢者医療費負担2倍化反対

 先の通常国会で、75歳以上を対象に病院などの窓口で支払う医療費の負担を1割から2割に引き上げる健康保険法等の改定が成立しました。単身者では年収200万円以上(年金含む)、夫婦世帯では合計年収320万円以上の約370万人(75歳以上の高齢者は1,815万人)が対象者となります。負担が2倍に増えれば受診を控える高齢者が増え、早期発見早期治療が遅れ重症化するおそれがあります。

 政府は「世代間の公平性を図る」「現役世代の負担軽減」が目的だと言いますが、主眼は公費と事業主負担の軽減です。現役世代と高齢者の対立をあおり、高齢者を”お荷物扱い”して、社会保障費全体の縮小を目論む改悪を許してはなりません。医療費負担を1割に止め、高齢者の健康を守ります。また、後期高齢者医療制度を抜本的に見直します。

 

 

3.地球環境と人間の共生
10)「原発ゼロ基本法案」成立を。老朽原発再稼働反対

 2011年の3・11福島第一原発事故によって、原発の「安全神話」は完全に崩壊しました。「絶対に安全」とされてきた原発は1度の地震と津波で一気に破壊され、震災から10年を経てなお1市4町2村にわたる337平方キロメートルの「帰還困難区域」が残ります(2021年6月現在)。「フクイチ」事故を受け、ドイツ、イタリア、デンマーク、オーストリア、スイスなどが脱原発を決めましたが、当事国である日本はいぜん原発に固執し続けています。

 この6月には運転40年超の老朽原発である関西電力美浜3号が再稼働されました。政府・電力会社は原子炉の寿命とされ法律上の上限でもある40年を超え、老朽化した原子炉を次々稼働させようとしています。日本列島は世界有数の地震多発地帯にあり、逃げ場のない島国です。10万年後まで管理しなくてはならない放射性廃棄物(核のゴミ)の捨て場もありません。危険な老朽原発を稼働させるなどとんでもない! 直ちに脱原発を決断するべきです。

 また、放射性廃棄物を再処理して高速増殖炉で再び燃やす「核燃料サイクル」計画は、事実上破綻しています。高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉に続き、六ヶ所村再処理工場も直ちに廃止すべきです。

 社民党など野党4党は2018年3月に「原発ゼロ基本法案(原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案)」を国会に提出しましたが、審議に至らないまま継続審査となっています。社民党は同法を早期に成立させ、原発・原子力関連施設の廃止に向けた具体的なロードマップを作成します。

 

原発ゼロ基本法案の概要

  1. すべての原発を速やかに停止し、法施行後5年以内に廃炉を決定。
  2. 再稼働、新増設・リプレースは認めない。
  3. 使用済み核燃料再処理・核燃料サイクル事業を中止。
  4. 省エネルギー・再エネルギー利用をすすめる。
  5. 原発周辺の雇用・経済対策を国が支援。

 

11)福島第一原発汚染水海洋放出反対。生活保障と被曝管理

 政府は4月の関係閣僚会議で、福島第一原発事故で発生し敷地内で貯蔵されている放射能汚染処理水を、海洋へ放出する方針を決定しました。地域住民の生業(なりわい)に大きな影響を与えるこの決定を、私たちは絶対に認めることは出来ません。

 政府や東京電力の隠蔽体質は、原発事故発生直後から変わることなく続いており、まるで問題の風化を望んでいるかのようです。パブリックコメントの受付や、公聴会の開催も何度となく延期を繰り返すなど、地域住民の気持ちに向き合う姿勢はまったく見られません。専門家からは、汚染水の処理・保管のあり方について様々な代替案も示されていますが、これらを十分に検討することもないまま、結論ありきの強引な決定を行なったのです。

 汚染水に含まれるトリチウムの安全性が強調されますが、トリチウム以外にも炭素14、ヨウ素129、ストロンチウム90など多くの核種が含まれることも明らかになっています。どんなに薄めたとしても放射能の総量は変わらず、海を汚すことに変わりはないのです。トリチウム以外の有害物質の総量も不明で、それらを処理して基準以下に取り除くことができるのかも不明です。除染処理作業に従事する原発労働者に対して、多重下請け構による過酷な待遇が強いられています。汚染水を意図的に海洋に放出することは、海を接してつながっている国際社会からも批判の声があがっています。

 福島県内の59市町村のうち41市町村議会が、海洋放出に反対・慎重の意見書を決議し、反対の署名には45万筆を超える賛同が集まっています(いずれも4月時点)。子どもたちの未来に取り返しのつかない被害と影響を与えかねない、放射能汚染水の海洋への放出に、社民党は断固反対です。

 

12)2050年までに温暖化ガスゼロ、グリーンリカバリー

 「パリ協定」(2016年11月発効)は、2020年以降の地球温暖化対策に関する国際的な枠組みです。世界の平均気温上昇を1.5℃以内に抑えることを目標として、今世紀後半に世界全体の温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする「脱炭素化」を目指しています。

 本年11月には第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)が開催される予定です。米国・トランプ政権は気候変動問題に背を向けてきましたが、バイデン政権への政権交代によって積極姿勢に転換しました。4月には主要国の対策強化を目的としたオンラインでの気候変動サミットを主催しました。これに先立って、菅義偉首相は日本の温室効果ガス排出削減目標を「2030年までに26%削減(2013年比)」から46%へと引き上げることを表明しています。これまでの目標を引き上げたこと自体は評価できますが、パリ協定の目標達成のためには、なお十分とはいえません。今後、世界の炭素排出の規制は強化されることはあっても、緩められることはありません。日本も覚悟を固めて脱炭素化をすすめる必要があります。

 日本の温暖化対策議論を複雑にしてきたのは、政府が温暖化対策と原子力推進を絡めてきたためです。確かに原子力は発電時の二酸化炭素排出は少ないのですが、「原料採掘から廃棄物処分」までのプロセス全体を考えると「温暖化対策の切り札」とはなりません。事故を起こせば地球規模の環境破壊をもたらし、事故を逃れても10万年後の未来まで放射能の危険を残すのでは本末転倒と言わざるをえません。

 温暖化対策は何より、省エネルギーと再生可能エネルギーの促進で実現するべきです。新型コロナウイルスの流行で冷え切った世界経済を、脱炭素社会や生態系を守る投資を通じて立て直そうという「グリーンリカバリー(緑の復興)」の考え方を取り入れます。

 

社民党の数値目標

温室効果ガス削減(2013年比)
 2030年 60%減 2050年 100%減

最終エネルギー消費削減(2013年比)
 2030年 40%減 2050年 70%減

電源構成
原子力
 2030年 ゼロ(原発ゼロ基本法施行5年以内に廃炉)
石炭火力
 2030年 ゼロ
LNG火力
 2030年 50%→2050年 ゼロ
再生エネルギー
 2030年 50%→2050年 100%

 

13)漁業法、種苗法改悪に反対。食糧自給率50%に

 過疎化・高齢化の進行や担い手不足、耕作放棄地の拡大など農林水産業を取り巻く現状は厳しさを増しています。これに対して政府は、TPP(環太平洋連携協定)など際限のない自由貿易体制への参加、利潤・効率最優先の「農業競争力強化プログラム」など新自由主義的な「攻めの農政」で対応しようとしています。水産業も林業も企業化し大手に参入させ、大規模化、生産性向上を追求しようとするだけで、持続可能な形で農業や農村を維持しようという発想がないのです。規模拡大と効率向上を求め、小規模な農家をどんどん淘汰していった先に、日本農業の未来はありません。

 米や麦、大豆など主要農産物について優良な種子の生産・普及を各都道府県に義務づけた「主要農産物種子法」の廃止で、遺伝子組み換え(GM)品種の流入や海外の種苗大手による種の支配、種子の価格つり上げが懸念されています。「種子法」の復活を目指します。また都道府県段階における種子の生産計画策定と予算措置、原種・原原種の備蓄体制などを定めた「主要農産物種子条例」の制定を推進します。

 国連が2019年から28年までのを「家族農業の10年」に定めるなど、新自由主義的な農政から転換し小規模・家族農業の価値を再評価する動きは国際的な潮流ともなっています。社民党は戸別所得補償制度を復活・拡充して規模の大小を問わず農業経営をしっかり下支えして早期の「食糧自給率50%以上」を目指すとともに、農林水産業の再生と担い手の育成、農山漁村の発展に全力をあげます。

 

 

14)防災・減災に向けたインフラ整備

 異常気象が続き、大規模な災害も相次いでいます。巨大地震や、津波、風水害などに備え、住民の命と財産を守ることは政治の重要な役割です。風水害の激甚化は、地球規模での気候変動が影響している可能性もあります。防災・減災対策の抜本的な強化が必要です。大規模開発、新規事業優先ですすめられてきた、公共事業のあり方も根本から見直し、老朽化したインフラの確実な更新や、安心・安全の防災・減災対策を基本にすえた取り組みに予算を重点的に配分するべきです。

 防災対策を後回しにして、国際競争力強化などを名目にした産業インフラ投資、大都市道路、リニア新幹線建設や整備新幹線延伸などの大規模開発事業には莫大な財政が投入される一方で、防災・減災対策の公共事業は立ち遅れています。「国土強靭化」を掲げ、「国際競争力強化」、「国家機能の代替性」などが強調されますが、国民一人一人の生命と財産を守ることは、もっぱら「地域住民の力を向上させる」ことに委ねられています。

 道路、橋、トンネルや、学校、公営住宅などの公共施設など日本のインフラ基盤は老朽化が進行しています。防災対策という面からも優先的な資源配分が必要です。国は、自治体の防災・減災・老朽化対策への国の支援を強化するべきです。

 また、警戒体制や住民への情報の提供体制、消防や自治体など地域の防災力を強化し、住民の命を守る医療や福祉の体制を日常から整えることも必要です。「国土」だけではなく、災害に強い国、災害から命と財産を守る社会にしていく必要があります。社民党は、自衛隊の一部を災害出動を「主たる任務」に位置づけた、「災害救助隊」に改編することを提案しています。

 

4.ジェンダー平等社会の実現
15)男女平等、選択的夫婦別姓導入、世帯主義から個人主義へ

 コロナ危機によって、「女性不況」と呼ばれるほど各国の女性が男性以上に経済的な打撃を受けています。とくに日本は働く女性全体の半分が非正規労働者で雇用調整の対象となり、影響は甚大です。月毎の就業者数を見ると2020年4月は男性39万人減、女性70万人減で、徐々に持ち返しているものの元には戻らず2020年11月から男女とも横ばいです。日本は男女の賃金格差が大きいうえに、育児や家事の負担が女性に偏っています。一斉休校や外出自粛で増えた負担が女性の就労を不安定にしました。

 現在、雇用調整助成金の特例が雇用維持に役立っていますが、シフト制などの女性には休業手当を払わない企業が多数あります。これを改めさせ女性の雇用を維持します。保育併設の職業相談や職業訓練など、女性の就労機会、幅を拡げるための施策を充実させます。均等待遇の実現、男女の賃金格差の是正、労働と家族的責任の両立など、抜本的な課題に取り組みます。

 新型コロナウイルスの経済対策として2020年春に支給された全国民一律10万円の「特別定額給付金」は世帯単位で支給されたため、DV被害者の女性や子どもが直接受け取れないという問題が生じました。税制、社会保障制度を世帯単位中心から、個人単位に改め、人格の独立と個人の権利を確立します。

 

 

16)女性の貧困問題、自殺対策。「生理の貧困」問題解決

 女性の自殺が深刻化しています。2020年の自殺者数は2019年に比べ、男性は0.2%減少したのに対し女性は15.4%増加。2021年3月の女性の自殺は前年同月比で28.9%の増でした。背景には、女性の貧困、子育て・介護の孤立化、DVや性暴力増加などの問題あります。コロナ危機の対策にジェンダーの視点を取り入れます。保健、医療、福祉、教育、労働など関連施策の有機的な連携が必要です。自殺の危機にある人が速やかに助けを求められるよう行政、民間の相談窓口を抜本的に強化します。

 ひとり親、低所得世帯の収入減は、子どもの成長や教育などにも影響を及ぼしかねない問題です。生活支援特別給付金を追加給付します。学校や公共施設等における生理用品の無償配布、生理用品の消費税免除など「生理の貧困」に取り組みます。

 

 

17)意思決定機関における女性の比率を引き上げ

 クオータ(割り当て)制度の導入などアファーマティブ・アクション(積極的な差別是正措置)を推進し、あらゆる意思決定の機関における女性の比率を50%を目標に引き上げます。

 先の通常国会では「政治分野における男女共同参画推進法」が改正され、セクシュアルハラスメント・マタニティハラスメント対策が国・自治体・議会の義務になりました(政党は努力義務)。

 世界経済フォーラム「ジェンダーギャップ指数2021」で、日本は156カ国中総合で120位。政治分野は、147位です。日本の女性議員の割合は、参議院約2割、衆議院や自治体議会では1割前後にすぎません。「政治分野における男女共同参画推進法」をさらに改正し、各政党が女性候補者の割合について数値目標をつくることを「努力目標」から「義務」にします。積極的に女性議員を増やし男性主導の政治をジェンダー平等の政治に変えていきます。

 

 

18)女性への暴力を根絶。性暴力禁止法制定

 コロナ禍による閉塞感、外出制限などによりDV(家庭内暴力)や性暴力被害が増加しています。行政、民間の性暴力被害者への相談や支援を強化します。特に医療機関をベースに24時間体制のワンストップ支援センターの設置(各都道府県に1か所以上)を促進します。DV等の被害者が緊急一時的に避難できる「民間シェルター」を運営しているNPO等への財政支援を強化します。

 性暴力をなくす包括的な取り組みを定めた「性暴力禁止法」の早期制定をめざし、先行して「性暴力被害者支援法」(超党派で議員立法案を提出済み)を早急に成立させます。刑法の性犯罪規定について、被害対象を狭める「暴行・脅迫要件」の撤廃、不同意性交等罪の新設、性交同意年齢16歳への引き上げ等を実現します。

 性暴力、性被害を根本的になくし、一人ひとりのからだや健康を守るためには、平等・人権の視点を入れた包括的な性教育の推進が不可欠です。幼児、子ども、若者をエンパワーメントする(力づける)性教育を実施します。あわせて大人への啓発も行います。リプロダクティブヘルス・ライツ(性と生殖における健康と権利)の確立に尽力します。

 

 

5.多様性に富む福祉社会の実現と差別の根絶
19)実効性のある包括的差別禁止法をつくる

 異なる立場にある人を軽んじ貶めるハラスメントやヘイトスピーチ(憎悪表現)が横行しています。人間関係が希薄し人と人のつながりやコミュニティの重要性が叫ばれるなか、性別や国籍、民族など、あらゆる差異を問わず誰もが等しく権利を保障され、人間らしく暮らせる社会づくりが求められています。

 2016年には「障害者差別解消法」(16年4月)や「ヘイトスピーチ解消法」(16年6月施行)、「部落差別解消法」(16年12月施行)の三法が施行され、障害を理由にした差別、ヘイトスピーチ、部落差別が禁止されるなど、大きな前進がありました。2019年には「アイヌ施策推進法」も施行されました。しかし、いずれも啓発や教育を中心とする理念法にとどまっており、限界があると指摘されています。他にも性的マイノリティや移住者など様々な差別についての立法活動も続いていますが、差別を廃絶するための実効性をどのように確保するかが課題です。

 社民党は、政府から独立した実効性のある人権救済機関を設ける包括的な差別禁止法の制定を提案してきました。いかなる差別も許さない共生の社会づくりのため、社民党は全力で取り組む決意です。

 

 

20)同性婚を法制化、LGBT差別解消法

 民法を改正し選択的夫婦別姓制度を早期に実現します。

 同性愛や性同一性障害など性的少数者(LGBT)が職場で不当な差別を受けたり、学校でいじめの対象となる例が後を絶ちません。先の通常国会では議員立法の「LGBT差別解消法案」の提出が直前で断念されました。「LGBTは生物学上、種の保存に背く」というような発言をした自民党議員らの妨害によるものでした。EU加盟国や米国の多くの州、カナダなどでは、すでに性的少数者への差別禁止法が制定されています。日本は差別を禁止するよう国連から勧告を受けています。早期に「LGBT差別解消法案」を成立させます。

 同性カップルを自治体が証明したり、宣誓を受け付ける「パートナーシップ制度」が広がっています。さらに進め、同姓婚を法制化し、婚姻の自由を等しく保障します。また、フランスの民事連帯契約(PACS/パックス)を参考に、同性・異性を問わず、共同生活を営むカップルを対象とする非婚カップルの保護制度をつくります。多様な家族が共存する社会をめざします。

 

 

21)子どもの権利基本法制定

 「子どもの権利基本法」を制定し、「子どもの権利条約」の基本原則(差別の禁止/生きる、育つ、発達する権利/子どもの最善の利益の確保/子どもの意見の尊重)を位置づけます。併せて同基本法を総合的に実行する「子ども家族庁」をつくります。

 まず、子どもの貧困率を下げるために数値目標を設定し、各省庁を横断する取り組みを行います。保健、医療、福祉、教育、親の労働、税制、社会保障制度を見直します。子ども・家庭に関する予算を引き揚げます(家族関係社会支出:対GDP比日本1.29%、イギリス3.57%、スウェーデン3.54%。国立社会保障・人口問題研究所2016年)。保育所・学童保育所の最低基準(人員配置、面積など)を引き上げ、保育の質を改善します。営利を優先する民営保育所の数が増えるなかで、子どもの事故や死亡、性的被害などが多発しています。公立保育所の役割を重視し、保育の民営化に歯止めをかけます。

 「子ども家族庁」に子どもからの相談や意見などに対応する部署と救済機関を置き、各自治体に拡大していきます。

 

 

22)共生社会の日本に、定住外国人に地方参政権

 日本で暮らす技能実習生に対する人権侵害が横行しています。技能実習制度は技能を通した国際貢献が建前ですが、現実には劣悪な環境で安い労働力を確保する手段となっており、賃金不払いや雇用主による暴行などが絶えません。2019年度から人手不足が深刻な産業分野で外国人労働者として受け入れる在留資格「特定技能」が設けられました。しかし矛盾は解決するどころか、さらにコロナ危機と相まって混乱が増しています。抜本的な解決を図るために外国人受け入れの土台となる「在留外国人基本法」の制定に取り組みます。日本で暮らす外国人の権利や義務、日本語教育、生活支援を行うことなどを明記します。

 入管収容施設の人権侵害を防止します。非常に低い難民認定率の問題などに取り組み、移民・難民の排除ではなく、共生社会の日本をつくります。

 長年日本に住み納税などの義務を果たしながら地域の課題について定住外国人が関与できないのは不合理です。定住外国人の地方参政権を実現します。

 

 

23)移動の権利の保障

 地方の過疎化、各鉄道事業者の経営合理化によって無人駅が増えています。総駅数に占める無人駅の割合は2019年度には48.2%(9,465駅中4,564駅)です。また利用者の少ない路線の廃止が地域住民の生活を脅かしています。

 国鉄から公共交通としての鉄道を引き継いだJRについて、移動の権利保障、安全性や利便性の向上、公共の福祉の観点からチェックし、社会的責任を果たさせます。

 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー法)の実効性を高め、地方地域のバリアフリー化の推進、バリアフリー車両開発の財政支援、現場での人員配置の強化、可動式ホーム柵やホームドアの設置促進、駅内と駅をつなぐ道路の階段や段差の解消を推進します。交通政策基本法に移動の権利を明記させます。地域住民、そして高齢者、障がい者、子どもなど、「交通弱者」となりやすい人びとの意見を交通政策に反映させます。

 

 

24)公権力の管理・監視強化から個人情報と権利をまもる

 この5月に、菅義偉政権の看板政策とされる「デジタル庁創設」などデジタル改革関連法が成立しました。行政手続きのオンライン化や民間の取引も便利になり、生活が豊かになるというのですが本当でしょうか。確かにオンライン会議の普及などデジタル化で利便性が向上する部分もありますが、「デジタル化=善」という単純化は危険です。

 デジタル化は、私たちの一挙手一投足が記録される社会、すべての個人情報が監視され統制される社会にもつながりかねません。政府はコロナ対策の給付金支給の迅速化などと謀ってマイナンバーカードの普及をすすめようとしており、デジタル情報を利用した、プライバシー侵害、個人情報の統制のおそれが懸念されます。

 現状の行政組織が縦割りで、異なるシステムが併存するなど効率が悪い面があるのは確かで、総合調整をはかる意義には理解できる面もありますが、その前提は何より個人情報保護の徹底ではないでしょうか。デジタル庁やマイナンバー制度、重要土地調査規制法案など菅政権が進めようとしている施策は、市民を監視し、情報を政府に集中しようとするものにほかならず、断じて認めるわけにはいきません。

 

6.平和外交で日本とアジアの平和を目指す
25)憲法改悪反対。憲法をくらしに活かす政治を実現

 日本国憲法は、第二次世界大戦の悲惨な体験のなかで生まれました。軍国主義と戦争への深い反省から、徹底した平和主義を貫き、「戦争をしない」ことに加え、「戦力を持たない」ことを定めています。平和主義の規定である第9条2項(戦力の不保持と交戦権の否認)が注目されますが、「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」の三原則全体を位置づけている「前文」、多様な人権保障を規定した11条、13条、24条、97条、第3章、権力分立を定めた41条、65条、76条、「法の支配」を貫徹するための98条、81条など、多くの条項が相まって「世界でも先進的」といわれる憲法体系を形成しています。

 憲法は、自らを改正するための規定(96条)を定めていますから、「不磨の大典」というわけではありません。しかし国家権力を担う側、ましてや首相や与党政治家が改憲の旗振りをすることは許されません。憲法は主権者である国民が、為政者に権力を預ける際のルールであり約束、「権力制限規範」です。制約されている側が、もっと自由に権力を行使したいというのが改憲論の本質です。

 いま憲法を変える必要はありません。社会に様々な行き詰まりが目立つのは、憲法が原因ではなく、憲法の理念を活用しようとしない政府の責任です。変えるべきは「憲法」ではなく「政権」。社民党は、憲法理念を暮らしや政治に活かして、国民の生活を再建することに全力をあげます。

 

26)安保法制、秘密保護法、共謀罪法、重要土地調査規制法廃止

 立憲主義とは憲法を制定(立憲)し、憲法の定めに基づいて統治をする政治のあり方のことで、民主主義の政府のほとんどが採用する当たり前の原則です。第二次安倍政権(2012年〜)頃から、強引な憲法解釈の変更や、露骨な憲法軽視が目立つようになり、「立憲主義」を守れという声が高まっています。

 選挙に勝利して政権を得たとしても、「白紙委任」で何をしてもよいということにはなりません。時々の政府は、憲法の規定に則った法律を作り、憲法が認める範囲で政権の運営を委ねられるのです。権力者が国家権力を私物化することが許されるはずはありません。

 自公政権下で憲法違反を指摘される立法が次々行われました。とくに、長年憲法上許されないとされてきた集団的自衛権の行使を認めた9条違反の「戦争法(安保法制)」(2016年施行)、国民の知る権利を侵害し、国民主権原理を形骸化させる21条違反の「特定秘密保護法」(2014年施行)、思想・良心の自由(19条)、表現の自由・通信の秘密(21条)を侵害し犯罪着手前の「計画(共謀)」を処罰することで罪刑法定主義(31条)にも反する 「共謀罪」法(2017年施行)、基地周辺などで住民を監視し土地の取引に政府が介入し財産権(29条)、居住・移転の自由(22条)、表現の自由、思想・良心の自由、プライバシー権(13条)などを侵害する「重要土地調査規制法」(22年施行予定)など、悪質な違憲立法が続いています。社民党はとことん反対し、廃止を目指します。

 

27)普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念を

 沖縄県内には現在31カ所(全国には78施設)の米軍専用施設があり、その総面積は1万8,484ヘクタールに及びます。これは沖縄県の総面積の8%にあたります。県民の9割以上が居住する沖縄本島では面積の15%に達し、日常生活にも障害となっています。国土面積の約0.6%しかない沖縄県に全国の米軍専用施設の約70.3%が集中しているというのはどう考えても異様です。

 1995年の少女暴行事件後の県民の怒りに直面して、日米政府は「SACO(沖縄に関する特別行動委員会)」を設置、96年4月には普天間飛行場の「5年ないし7年以内の全面返還」を表明して事態の収拾をはかりました。しかし、この「返還」は代替施設への移設が前提とされていたため、25年を経たいまも実現していません。「返還」の代償として、辺野古の海を埋立てた新基地を建設して提供するのでは、まったく本末転倒です。そしていまや、「世界一危険な飛行場」普天間に、「世界一危険な航空機」オスプレイが配備され、住民にさらなる不安を与えています。

 普天間飛行場の返還がすすまないなかで、沖縄県では長年の保革の対立を超えて共闘をすすめ「建白書」(13年1月28日)をまとめました。建白書には、沖縄県議会議長、沖縄県市長会会長、沖縄県商工連合会会長、連合沖縄会長、沖縄県婦人団体連合会会長が共同代表として名を連ね、県内の41の自治体の市町村長・議会議長、県議会の各会派の長が署名しており、いわゆる「オール沖縄」勢力の源流ともなっています。

 日米安保条約を理由に基地の負担を沖縄一県のみに押しつけ続けることは許されません。社民党は「建白書」の理念を支持して、辺野古の新基地建設に反対し、普天間基地の無条件・全面返還を強く求めています。

 

建白書の内容

  1. オスプレイの配備を直ちに撤回すること。及び今年7月までに配備されるとしている12機の配備を中止すること。また嘉手納基地への特殊作戦用垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの配備計画を直ちに撤回すること。
  2. 米軍普天間基地を閉鎖・撤去し、県内移設を断念すること。

 

 

28)日米地位協定改定。対等・平等な日米平和友好条約に転換

 日米地位協定とは、在日米軍の施設・区域のあり方や駐留する軍人、軍属の地位、経費の分担などについて定めるものです。米軍の駐留を受け入れている国は米国と地位協定を結んでいますが、日米地位協定は諸外国の協定と比べて、国内法が原則として適用されず、米軍人・軍属の権利も強すぎるなど、日本側に不利な不平等条約となっています。日常的な騒音被害、墜落等の事故など、基地周辺住民のガマンは限界です。また米軍関係者が起こす事件・事故は非常に多く、加害者が罰せられず、被害者が泣き寝入り強いられることも少なくありません。

 米国と地位協定を結んでるドイツや韓国では、自国民を守る立場からすでに改定を実現しています。日本でも2009年の政権交代の際には、社民党が強く主張し地位協定改定の機運が高まりましたが、実現できませんでした。18年7月と20年11月には、全国知事会が「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で決議するなど、なお地位協定の見直しを求める声が拡がっています。社民党は軍事同盟基軸の日米安保体制ではなく、対等・平等な友好協力関係を定める「平和友好条約」への転換を主張しています。日米地位協定の改定はその大前提です。

 地位協定の範囲を超えて日本側が経費を分担するいわゆる「思いやり予算」や、米国に言われるままに武器を「爆買い」することもやめさせなければなりません。

 

 

29)南西諸島や馬毛島の軍事基地化に反対

 台湾問題をめぐって中国と米国の対立が続いています 。菅義偉政権は、4月17日に開かれた日米首脳会談の「共同声明」に台湾問題を盛り込み、有事の際の協力を約束しました。台湾で軍事紛争が起きて、在日米軍基地から米軍が出撃し、これに自衛隊が軍事的に協力していけば、日本列島が戦場となる可能性が現実のものとなります。なかでも危険なのは、米軍基地が密集している沖縄県です。国境近くの与那国島と台湾は100キロ強しか離れていません。台湾有事となれば沖縄の米軍基地が最前線の出撃拠点となることは明らかです。

 この間、政府は、尖閣問題等で危機感を煽りながら、南西諸島の自衛隊増強をすすめてきました。かつて、ソ連侵攻に備える「北方の守り」が重視されていた自衛隊の配備は、対中国を見据えた「南西諸島防衛」に変わり、鹿児島県の奄美大島、沖縄県の宮古島・石垣島の3島にミサイル部隊が配備されました。鹿児島県・馬毛島には米空母艦載機のFCLP(陸上離着陸訓練)移設が強行されようとしています。有事の際には沖縄・南西諸島が戦場になるおそれが現実のものとなっています。

 「対米従属」が極まった日本の政治は、日本を戦争に引きずり込む「日米安保」の危険性に正面から向き合うことはありません。社民党は、いま迫る「戦争」に反対の声を上げ続けます。

 

30)平和外交で北東アジア非核平和地帯を。核兵器禁止条約に加入

 核兵器の開発、保有、使用を全面禁止する初の国際法規である核兵器禁止条約が2021年1月に発効しました。米国、英国、フランス、中国、ロシアの核保有5大国のほか、米国の「核の傘」の下にある日本や韓国が参加していないなど、限界も指摘されますが核兵器を非合法化する具体的な一歩として大きな意義があります。被爆国であり核兵器廃絶を「国是」とする日本が核兵器禁止条約の流れに背を向けています。

 すでにトラテロルコ(ラテンアメリカ)条約、ラロトンガ(南太平洋)条約、バンコク(東南アジア)条約、ペリンダバ(アフリカ)条約、セメイ(中央アジア)条約、南国条約、モンゴル非核兵器地位などが成立しており、地球の南半分は非核兵器地帯です。日本は、北東アジア非核兵器地帯創出に全力をあげ、世界中から核兵器を閉め出し、核なき世界を実現するための先頭に立つべきだと考えます。

 社民党は、2001年にいわゆる「土井ドクトリン」(21世紀の平和構想-核も不信もないアジアを)をまとめ、①日本国の非核不戦国家宣言、②北東アジア総合安全保障機構の創設、③北東アジア非核地帯の設置など、多国間集団安全保障体制の確立と、自衛隊の縮小改編の道筋を提起しました。この提起は、20年を経てなお有効な提案であると自負しています。

 私たちは、国家の軍事力の均衡を中心に発想する旧来の安全保障政策を脱却し、社会開発、人権、女性支援、環境保全などに軸足を置いた「人間の安全保障」を重視する立場に転換していかなくてはなりません。政府間だけではなく自治体間や民間の交流、NGOの活動なども国際社会の主要な構成要素として位置づけ、幅の広い重層的な国際関係を構築していくことが必要です。社民党は、あくまで非軍事にこだわり、たとえ遠い目標であっても、一人ひとりの人間が安全に暮らせる真に平和な世界を目指し続ける決意です。

 

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