日本の敗戦から80年を迎える今年の8月15日。石破茂首相は、日本社会党首班の村山富市内閣以降10年刻みで閣議決定してきた首相談話の発出を見送り、首相の私的諮問機関がつくる首相個人のメッセージを発表する意向だ。これは首相自身の歴史認識を示さず、自民党内の対立を避けようとする、逃げの姿勢である。
「戦後50周年に際しての談話」、いわゆる村山談話とは、第2次世界大戦終結から50年の節目の年である1995年8月15日に閣議決定した村山首相談話のことである。
村山談話は、日本によるアジア諸国への植民地支配と侵略戦争の「国策の誤り」を認め、謝罪する内容であり、アジア平和外交の指針として高く評価され、その後の歴代内閣が継承してきた。今号では戦後80年に際して、村山談話の意義をあらためて認識する論考を特集した。