よくもこれだけの悪法案を何本も国会に出せるものだ。まず、再審法を見直す刑事訴訟法改正法案である。6月16日に衆院本会議で与党などの賛成多数で可決してしまった。参政党が与党案にくみしたため、参院でも可決されそうだ。肝である再審開始決定に対する検察官の不服申し立てを全面禁止していない。検察側が保有する証拠開示も全面開示ではない。しかも、開示証拠の目的外使用を罰則付きで禁止した。袴田事件などのえん罪事件を、法務省は全く教訓としていない。
死刑存置国・日本では、えん罪は死につながる恐れがあり、国会議員の良心にかけて修正すべきだ。
次に皇室典範改正問題である。①女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ②皇室典範で禁止されている皇族の養子縁組を旧宮家の男系男子に対象を限って可能にするーーとの2点などを政府は要綱にまとめ、法案を閣議決定する見通しだ。旧宮家の人々の意見も聞かず、皇族数確保のために駒のように扱い、国民の多くが是認している女性天皇を絶対認めない要綱は、まさに首相のイデオロギーに由来するものではないか。
さらに、国旗損壊罪法案。「日の丸」を日本国旗と法律で定めたのは、わずか27年前。そもそも「日の丸」は、旧日本軍によるアジア侵略のシンボルであった。日本軍の慰安婦にされたことを1991年に初めて証言した金学順さんが、「日章旗を見るたびにムカムカする」と言ったことを忘れることはできない。負の歴史を背負った旗を損壊したから罰を与えるという法案をなぜ今無理やり通そうとするのか。
国民投票法改正法案は、6月19日に衆院本会議で与党などの賛成多数で可決され、参院では24日の憲法審査会で審議入りし、今国会での成立の公算が強くなっている。21年法改正で課されたインターネット上の有料広告規制のあり方などの検討課題には、何も答えていない内容であり、高市首相の改憲発議のための条件整備でしかない。
最後に、衆議院議員定数削減法案である。自民と維新共同提出である。与野党協議会で1年以内に結論が得られなければ比例代表を45議席削減するという、少数野党つぶし法案だ。(7月9日号より)
こうした法案は、人権無視、偏狭なナショナリズムの市民への押しつけでしかなく、民主主義の発展に何ら貢献しないものである。われわれはもっと拒否を示すべきではないか。