社会新報

首相、長生炭鉱視察に前向き ~ 大椿副党首が参院決算委で答弁引き出す

大椿副党首が石破首相に鋭く迫った。石破首相は答弁で市民団体の活動を「尊い」と評価した。(4月7日、参院決算委員会)

 

(社会新報4月24日号より)

 

 社民党副党首の大椿ゆうこ参院議員(会派=立憲民主・社民・無所属)が7日、決算委員会の質疑に立ち、長生炭鉱水没事故犠牲者の遺骨収容についてただした。
 朝鮮半島出身者の遺骨問題を担当する厚生労働省人道調査室は、毎年1000万円以上の予算を付けられながら、ほとんど執行されていない。大椿議員は、その予算を長生炭鉱の調査や安全性確保に活用すべきとたびたび求めてきたが、政府は2005年の日韓両政府の協議で「遺骨の所在が明らかになった寺院等に実際に赴き、関連情報に関する調査を行なう」と合意されたことを理由に拒んでいる。寺院以外での調査は合意違反かと岩屋毅外相に問うたが、岩屋外相は明言を避けた。
 続いて、大椿議員は、市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」がクラウドファンディング等で2249万円の資金を調達したものの、潜水調査・坑口補強工事・障害物除去工事等を自力で行なうには1500万円不足する見込みであることを紹介し、政府が全国の市民の良心と市民団体の活動に頼り切っていることについての石破首相の認識をただした。石破首相は、「そういうことにどれだけ(費用が)かかるのか、国としてどのような支援を行なうべきか、さらに政府の中で検討したい」と応じ、さらに市民団体の活動は「尊いこと」で、「政府が危険を承知しておきながら自己責任というわけにはいかない」「遺骨が安全な作業によって発見され、遺族のもとへ帰っていくことの重要性は、私自身よく認識している」と述べた。
 それを受けて大椿議員は、政府がまず現場を訪れ、財政・技術面での支援を考えるべきと求めた。福岡資麿厚労相は「実地調査という実務に照らし対応可能な範囲を超えている」と従来の答弁を繰り返したが、石破首相は「現場を見た方がより正確に事態が把握できる、あるいは関係者の納得を得られるのであれば、ちゅうちょすべきとは思わない」と、現場視察に前向きな姿勢を見せた。
 大椿議員は、長生炭鉱の遺骨収容は本来、国がすべき事業だとし、戦後80年の今年、さまざまな戦後補償の問題に前向きに取り組むよう求めた。