
対談する満田夏花さん(左)と福島党首。
(社会新報1月30日号2面より)
社民党の福島みずほ党首は、このほど、国際環境NGO「FoE Japan」事務局長の満田夏花さんと対談した。再び原発推進へとかじを切った日本のエネルギー政策の問題点について語り合った。対談全文は近日発売の『月刊社会民主』2月号に掲載される。
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昨年12月に第7次エネルギー基本計画(以下、第7次エネ基)の素案が公表されたことについて満田さんは、「原発回帰の色濃い計画だと思う」と問題点を指摘。「これまでのエネ基で明記されてきた『原子力の可能な限りの低減』が取れてしまって、『最大限活用』になった。第7次エネ基の案では、2040年でも原発の割合を『2割程度』としている。現在稼働中・停止中の原発を総動員して、やっと達成できるかできないかという数字だ」として、非現実的であると評した。
満田さんは第7次エネ基のもう一つの問題点として、その決定プロセスを挙げた。
「われわれの未来に直結する話なので、市民参加が絶対必要不可欠。ところが、閉じられた審議会で産業界の代弁者みたいな人たちがズラリと並んでいる中で決められていて、民主主義の『み』の字もない」
福島党首も、国会の中で原発推進派の声が大きくなっていることへの危機感を表明し、「国民民主党も日本維新の会もバリバリの原発推進だ。野党の中でも原発推進が自民党以上に強い」と述べた。
原発コストは超高い
満田さんはまた、「『原発の発電コストは安い』『再エネは高い』という擦り込みを政府や大手電力会社がやっている。原発を再稼働すると、電力料金が下がるといった宣伝をやっていて、今回のエネ基でも、そういう前提になっている」と批判。その上で、「フランスのフラマンビル原発では、1基2・1兆円、フィンランドのオルキルオト原発は1・7兆円、米国のボーグル原発は2・2兆円など、英国で今、建設中の原発は4・6兆円くらい。しかも建設費が計画していた時から数倍に膨張している」と指摘した。
原発のコストは他の電源に比べて高くないとする日本政府の試算についても、安全対策費が過小に見積もられていることを指摘。「例えば女川原発では申請時の金額の50倍もかかっているという。過小評価にもほどがある」と批判した。
事故リスク過小評価
第7次エネ基で事故のリスクやコストが過小評価されていることについても、満田さんは、「原発事故が起こる確率も1万2000炉年(1炉年=原発1基が1年間に稼働したこと)に1度が前提になっている」と問題視した。福島党首も「しょっちゅう何か機器が壊れたりしている」と、実際に起きているトラブルを無視した政府試算の前提を批判した。
福島党首は、「私は日本の脱原発は成功すると信じている。各地の反対運動に加えて経済的にも、新増設なんて本当はできないことを、推進側も分かっているはず」と語ると、満田さんも同意しつつ、「だからこそ、原発の新増設のための資金を電気料金から取るという動きがある」と警鐘を鳴らした。
これは、英国で発案されたRABモデルというもので、建設段階から原発の費用を電気代などで徴収するというものだという。「これを参考にした新しい資金制度を検討すると経産省が動いているようだ」。
原発推進の流れにどう対抗するかについて、福島党首と満田さんはより幅広い層に伝わる発信を模索することが必要との認識で一致した。