社会新報

【主張】フジテレビの闇 ~ 第三者委員会が性加害疑惑の徹底調査を

(社会新報2月6日号3面より)

 

   ジャニーズ事件の教訓からフジテレビは何を学んできだのか。
 タレントの中居正広氏による元女性アナウンサーへの性加害疑惑をめぐり、フジテレビの編成幹部が「事件」に関与していたと報じられ、波紋は広がるばかりだ。
 性加害疑惑は、『週刊文春』新年合併号で報じられた。記事によると、「事件」が起きたのは2023年6月。中居氏とフジ編成幹部A氏を交え、複数人で食事会を予定していた。ところが直前になってA氏らはキャンセルし、中居氏とフジ女性アナウンサーXさんの2人だけになった。その密室で「事件」が起きた。
 Xさんは、フジの幹部3人に被害の詳細を報告した。その情報は港浩一社長の耳にも当然入ることになった。しかし、港社長らフジ幹部は、Xさんの必死の訴えを握りつぶし、中居氏への聞き取り調査もせずに、番組を継続した。
 Xさんは、同年7月中旬、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、入院した。Xさんは警視庁に被害届を出すことも考えたが、示談交渉で、中居氏がXさんに9000万円の解決金を支払うことで合意。
 中居氏といえば、アイドルグループSMAPの元メンバーで、多数のレギュラー番組を持つトップタレント。中居氏は1月23日、芸能界の引退を表明した。
 『文春』報道によれば、編成幹部A氏は女性アナや女性局員を有名タレントに接待役としてあてがうことで出世の道を歩んだという。背景には「フジの女性アナ『上納文化』がある」とも報じられている。
 港社長が17日、記者会見し、外部の弁護士らによる調査委員会で事実関係を検証すると表明したが、会見のやり方が批判の的になった。静止画のみで、媒体や記者数を限定した。放送局自らが「報道の自由」に背を向ける会見となった。核心を突く質問にはゼロ回答だった。27日、やり直しの会見は異例の長時間にわたり、嘉納修治会長と港社長が謝罪し、辞任した。
 調査委員会の独立性について、社民党の福島みずほ党首は22日の会見で「日弁連のガイドラインに沿った第三者調査委員会にすべき」と指摘した。スポンサー企業の一斉離反なども受けて、フジは23日、独立性が担保される第三者委を設置する方針に転じた。第三者委は3月末をめどに報告書をまとめるという。フジは信頼を回復できるのか。徹底した調査が求められる。