(7月31日号より)
戦後・被爆80周年の夏を迎えた。原水禁世界大会も26日の福島大会を皮切りに始まった。
昨年、日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)がノーベル平和賞を受賞し、今年3月には核兵器禁止条約の第3回締約国会議が開かれ、「国際社会の断固たる行動が必要だ」とする政治宣言を採択した。
しかし、世界に存在する核弾頭は今年6月現在、1万2000発余りに上るといわれ、冷戦期に比べれば大幅に減少しているものの、核保有国の核兵器への依存は強まっている。
ウクライナやパレスチナでは戦火がやまず、一部の政治家や軍人から核兵器の使用をほのめかす発言まで飛び出している。トランプ米大統領は米軍によるイラン核施設への空爆が一連の戦闘を終結させたと正当化した上で、「広島や長崎の例は使いたくはないが、あの戦争を終わらせた点で本質的には同じことだった」と、許せない発言をした。
「唯一の戦争被爆国」を掲げる日本政府は、締約国会議に一切参加しなかった。また先の参院選では、日本が核武装することは「最も安上り」だとして核保有を主張する野党候補が現れ、当選した。
危険な動きに加え、被爆者の平均年齢は85・58歳(2024年3月現在)となっている。
元広島市長で原水禁顧問の秋葉忠利さんは、どの自治体にも「国民保護計画」作成が義務化されていることに触れ、「広島・長崎以外では、核攻撃の際に市民を守る対策として『爆心地から離れる』といった非現実的レベルの行動が規定されています。『核攻撃があれば、市民を守ることはできない』と改定するだけでも、日本政府には大きな衝撃」となると指摘している(原水禁『核と人類は共存できない』)。
「3・11」の責任を誰も取らず、原発の新増設をもくろむ動きが表面化している。大会を契機に脱原発の取り組みと合わせて強化していきたい。