社会新報

【関東大震災から103年】現在の排外主義を問い直す ~ 朝鮮人虐殺犠牲者を追悼

日朝協会などの追悼式典で追悼碑前に献花する社民党の福島みずほ党首(手前右)。その後ろがラサール石井幹事長。(9月1日午前、東京・墨田区の都立横網町公園)

 

朝鮮総連東京都本部などの同胞追悼会で黙祷を捧げる人たち。(9月1日午後、同公園)

 

横網町公園内にある朝鮮人犠牲者追悼碑。

 

 

 関東大震災から103年となる9月1日、大地震発生後に虐殺された多くの朝鮮人などを追悼する2つの式典が、都立横網町公園(墨田区)内の朝鮮人犠牲者追悼碑前で行なわれた。

 午前に行なわれた式典は、日朝協会東京都連合会などで構成する実行委員会が主催。午後の式典は、在日本朝鮮人総連合会東京都本部と東京朝鮮人強制連行真相調査団が主催した。

 社民党の国会議員として、午前の式典には福島みずほ党首とラサール石井幹事長が参加し、午後はラサール幹事長が参加した。

差別と朝鮮人虐殺

1923年9月1日に発生した大地震の後、警察官なども関与して「朝鮮人が殺人や放火を行なっている」「井戸に毒を投げ入れた」などの流言が人々の間に広まった。

 その結果、数多くの朝鮮人や中国人、また社会主義者・無政府主義者らが、自警団や軍隊、警察官などによって殺害された。

 詳細については、各種史料や歴史研究によってかなり明らかにされている。

 内閣府中央防災会議が2008年に出した調査報告書は、朝鮮人などが虐殺された事実を認め、その犠牲者数を「震災による死者数の1〜数パーセント」と推計した。震災全体の死者・行方不明者数が約10万5000人なので、虐殺犠牲者数は「1000人〜数千人」ということになる。

 だが日本政府は、そうした虐殺に関する資料はないとの姿勢をとり続ける。

 同追悼碑前での式典は1974年から毎年行なわれ、歴代の東京都知事は式典に追悼文を送ってきた。

 だが、小池百合子知事は就任翌年の2017年から追悼文の送付を拒んでいる。関係団体は今年も式典への参加や追悼文の送付を求めたが、小池知事は拒否した。

小池都知事の不誠実

午前の式典には約800人が参加した。

 日朝協会東京都連合会会長で式典実行委員長の宮川泰彦さんは、中央防災会議報告書が虐殺の背景に民族差別意識があったと指摘していることを取り上げ、「過ちを繰り返さないためにも、悲惨な歴史の事実を語り継ぐことは今を生きる私たちの責務だ」と語った。

 東京弁護士会会長の石原修さんは、人種や国籍上のマイノリティに対するヘイトスピーチがインターネットなどにあふれ、フェイク情報の作成技術がますます高度化する現状を指摘し、「私たちは正確な知識と歴史認識を持ち、未来の世代へ教訓を伝えていく必要がある」と訴えた。

 他にも追悼の辞や追悼メッセージがあった。

 犠牲者を悼む読経が行なわれる中、参列者らは追悼碑に献花した。

 献花が続く中、日本中国友好協会東京都連合会の塩澤俊之さんが閉会のことばを述べた。塩澤さんは、虐殺された人々の中に多くの中国人もいたことを指摘し、「差別と排外主義と立ち向かう」ことの重要性を訴えた。

排外主義の今昔

午後の式典には、約200人が参加した。

 主催団体として、朝鮮総連東京都本部常任委員会の鄭斗徹委員長と東京朝鮮人強制連行真相調査団・日本側代表の西澤清さんが追悼の辞を述べた。

 鄭さんは、103年前の暴虐を「集団虐殺(ジェノサイド)だ」と指摘し、この歴史の事実をごまかそうとする日本政府や都知事の姿勢を厳しく批判した。

 その上で、高校無償化制度からの朝鮮学校除外などを例に挙げ、「今日もなお朝鮮人差別と排外主義が続いている」と指摘した。

 西澤さんは小池知事の一連の不誠実な言動を取り上げ、「犠牲者や遺族に失礼であり、日本人・都民の恥だ」と厳しく批判した。

 日本と朝鮮を結ぶ全国ネットワーク共同代表の藤本泰成さんは、「植民地支配の歴史を日本人自身がいまだ克服できない中で、日本社会は外国人排斥の動きを強くしている」として、日本社会の動きに警鐘を鳴らした。

 この他にも来賓あいさつがあり、最後に参列者らが追悼碑に献花した。(9月17日号より)