
左から辻元清美・立憲民主党代表代行、田村智子・日本共産党委員長、櫛渕万里・れいわ新選組共同代表、大椿ゆうこ・社民党副党首、伊波洋一・沖縄の風代表。(5月3日、東京・有明防災公園)

左から桜井夏来・社民党都連幹事長、西みゆか・参院東京選挙区予定候補、加藤晋介・新社会党副委員長、大椿ゆうこ社民党副党首、かい正康・参院選比例代表予定候補。(国際展示場駅前)
(社会新報5月15日号より)
日本国憲法の施行から78年となる5月3日、護憲派が主催する憲法大集会が東京・江東区の東京臨海広域防災公園で行なわれた。約3万8000人(主催者発表)が参加した。
ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルによるパレスチナ人大虐殺、米トランプ政権の再登板など、世界は大変動の中にある。
こうした中で、日本国憲法が注目されている。
憲法の精神で平和を
集会で、中央大学名誉教授の植野妙実子さん(憲法学)は、日本国憲法の3原則である「平和主義」「基本的人権の尊重」「国民主権」について「これらは全て平和を前提にするもの」と指摘した。
その上で、「ミサイルが飛んでくるような状況で、私たちの権利が守られるはずがない」として、平和の重要性を訴えた。
13歳の時に長崎で被爆した日本原水爆被害者団体協議会・代表委員の田中熙巳さんは、「被爆後の光景が今でも脳裏に焼きついている」と語った。
被団協は1956年から被爆体験を語り継ぎ、「核兵器を使うな」「戦争をするな」「平和を守れ」と訴え続け、昨年にはノーベル平和賞を受賞した。
田中さんは「世界は今、核戦争が始まりかねない危険な状況にある」として、「核兵器は絶対に使ってはならない」と訴えた。
対米関係の見直しを
元経済産業省官僚で政治経済評論家の古賀茂明さんは、日本政府が米国を「価値観を共有できる最も大切な友達」と評価することに対し、「トランプ氏が大統領になって、それが間違いであることがハッキリした」と指摘した。
その上で、「米国との関係を問い直す」とともに「中国との関係を安定させる」こと、「憲法の精神で中国と話し合う」ことの重要性を訴えた。
各党からの発言もあった。社民党副党首の大椿ゆうこ参院議員は、自身がかつて非正規労働者の時に解雇された経験を話し、憲法28条の「労働者の団結権」の重要性を指摘した。
その上で、「憲法はそこに『置いてある』ものではなく、私たちが使っていくものだ」と訴えた。
また、大椿副党首は憲法9条の尊さを語り、「社会民主党は『頑固に平和』を訴え、戦争を絶対にさせない」と強調した。
「沖縄の風」代表の伊波洋一参院議員は、喧伝(けんでん)される台湾有事論について、「米軍の戦略に基づくもの」として、その目的を「日本を戦争に巻き込むことだ」と指摘した。
立憲民主・共産・れいわの議員も発言した。
この他、平和を求める活動の報告などもあった。
集会後、参加者は街頭でパレードを行ない、道行く人たちに平和と憲法の大切さを訴えた。
社民・新社会が街宣
同日午前、憲法大集会に先立ち、社民党と新社会党は会場近くの国際展示場駅前で共同街頭宣伝を行なった。演説者が街宣車の上から訴え、支援者はチラシを配布した。行動には約150人が参加した。
今夏の参院選・東京選挙区で社民党から立候補予定の西みゆか弁護士は、防衛費の削減や企業の内部留保への課税による税収分を中小零細企業に補償することで、最低賃金を時給1500円以上に引き上げることなどを提案した。
また、「戦争の動機をなくす平和外交こそが安全保障だ」と訴えた。
前相模原市議で厚木基地問題に取り組み、同神奈川選挙区から立候補予定の金子豊貴男さんは、「東京湾が米軍の軍事基地化している」と懸念を示した。
自衛隊に関しては、軍事ではなく「首都圏直下型地震に対応できるようにすべきだ」と訴えた。
参院選比例区で社民党名簿に登載予定の新社会党のかい正康さんは、「1都9県の空は在日米軍によって『横田空域』として支配されている」として、「全ての国民の生活を守ることが憲法の神髄だ」と訴えた。