「憲法カフェ」とは、気楽に憲法を学び、語り合う勉強会のこと。ファシリテーターとは、講師よりも会の進行役に近い役割の方。
社民党は6月20日を皮切りに3回連続で、「憲法カフェ ファシリテーター養成講座」を開催。講師を務めた憲法学者の清末愛砂さんに、第1回の講演内容を執筆していただいた。
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憲法学者 清末愛砂さん
社民党主催「憲法カフェファシリテーター養成講座」講師の清末愛砂です。北海道の室蘭工業大学で憲法学の教員を長年務めています。
改憲の危機にある現在は、人権・平和の視点から護憲を熱心に訴え続けてきた社民党の、まさに出番というべき時ではないでしょうか。講師を引き受けたのは、社民党には改憲阻止に向けて一丸となって頑張っていただきたいからです。
憲法カフェでは、日本国憲法の基本的な意義や先進性を参加者の方々と共有していただき、その上で、緊急事態条項の導入や自衛隊の存在の明記などをめざす改憲が、私たちの生活に及ぼす危険な影響について、丁寧に議論していただきたいと考えています。
豆知識的クイズ8問
初回(6月20日)では、これまでの憲法教育または市民向けの憲法講座を通して得た質問や反応を参考にしながら、「憲法豆知識的クイズ」と題して8つの質問を立ててみました。具体的には、次のとおりです。
①工業大学になぜ憲法学の教員がいるのでしょうか。
②〇〇免許をとるために憲法学の単位が必要なのはなぜでしょうか。
③下記の憲法26条を見てください(本稿では26条は省略)。1項の教育を受ける権利を受けて、2項で保護者に対する子に教育を受けさせる義務が規定されています。では、なぜ保護者に教育を受けさせる義務が課せられているのでしょうか。
④清末は憲法の授業の初回で何を教えることに力を入れるでしょうか。
⑤誰が憲法を尊重しなければいけないのでしょうか。
⑥原則ではなく、なぜ原理というのでしょうか。
⑦3大原理で最も重要な原理は何でしょうか。
⑧清末は憲法の3回目の授業で何かを音読します。それは何でしょうか。
初回のタイトルを「知っているようで知らないこともある憲法の役割」としたのは、明確な理由があってのことです。党員・協力党員の皆さんは護憲運動に関わっておられる方々が多いので、憲法に関する一定の知識をお持ちだと思料します。ですので、基礎的なことは知っているから、それらをいまさら学ぶ必要はないと思われる方もおられるかもしれません。しかし、実際に憲法カフェを開催するときは、例えば、憲法に関心を持ったことはなかったが、改憲で人権や平和が脅かされる可能性もあると聞いたので基本的なところから学んでみたい、という方々など、可能な限り広範に参加を呼びかけることになるはずです。だとすれば、憲法カフェのファシリテーター側も、ここは最低限おさえておくべきポイントを整理しておくことが重要です。
家父長的支配の否定
初回の最初に、日本国憲法が求める非暴力的な社会を築くためには、9条だけでなく、家制度の廃止をはじめとする家父長的支配を否定した24条もあわせて理解することが肝要であると話しました。近代国家では軍隊の保持が当然視されており、また男性優位の家父長支配に基づく近代家族(父母とその子からなる家族)が「愛」の名の下で家族内の暴力を隠ぺいしていました。そのような国家のあり方から脱却したのが日本国憲法です。ここにこの憲法の先進性があります。
この後は、「憲法豆知識的クイズ」に答えながら、教育基本法のいう教育の目的と教員免許との関係(上記の質問②の〇〇の答えは「教員」)、教育を受ける権利を確保するために保護者に課せられている義務、近代憲法の成立から現代憲法にいたる歴史的過程と原理の発展、近代・現代立憲主義の違い、例外を認めないという意味での原理の重要性と基本的人権の永久性や憲法改正との関連性などを話しました。
憲法前文の音読推奨
講座の最後に、私が授業で実施している憲法前文の音読を推奨しました。土井たか子さんがおっしゃったように、日本国憲法の土台は前文です。前文から日本がどのような国家でなければならないかを学ぶことができます。また、現在の状況との乖離(かいり)を議論するのに最適な教材でもあります。憲法カフェでぜひ試してみてください。初回では90人以上の参加者があり、たくさんのご質問が寄せられました。党員・協力党員の皆さんの強い意気込みが伝わるものでした。
■きよすえ・あいさ 1972年生まれ。山口県周南市出身。大阪大学大学院助手、同助教、島根大学講師を経て、2011年10月に室蘭工業大学大学院准教授に着任。21年6月より同教授。専門は憲法学(特に24条の平和主義的価値)、ジェンダー法学、アフガニスタンのジェンダーに基づく暴力と女性運動。