社会新報

【主張】米価の高騰 ~ 食料自給率向上へ農政の転換を

(社会新報5月22日号より)

 米価の高騰が依然として続いている。全国のスーパーで4月27日までの1週間に販売されたコメ5㌔当たりの平均価格は税込みで4233円。値上がりは17週連続で、前年4月の平均価格の2倍を超えた。
 政府備蓄米の放出は全く効果が上がっていない。備蓄米をめぐって政府が迷走する中、外国産米の輸入が拡大している。政府はミニマムアクセス(最低輸入量)として年77万㌧を無関税で輸入している。その枠外での輸入には1㌔341円の関税がかかるが、それでも国産米より安いため、争奪戦になっている。
 今回の米価高騰の背景には、備蓄米の入札でJA全農が9割超を落札し、JA全農との結びつきが弱い中小卸売業者や地場のスーパーに流通しにくいという欠陥があるが、そもそもコメ不足の根本的な要因は農家への支援を長年怠り続けてきた自民党農政にある。
 昨年の通常国会で、農業の憲法といわれる「食料・農業・農村基本法」が25年ぶりに改「正」されたが、あまりにも低い食料自給率を向上させるための抜本的な政策はなく、農村の疲弊を前提として、一部の企業が輸出やスマート農業でもうかればよいという短絡的な内容だ。さらに戦時下にイモを強制的に増産させる「食料困難事態法」まで成立させた。
 自営農業従事者の平均年齢は、68・7歳と高齢化が進む。耕作面積も縮小の一途だ。このままでは、日本の農業・農村は崩壊するしかない状況だ。
 現在の懸念材料は「トランプ関税」をめぐる日米交渉の行方だ。米国側は多くの国・地域に一律10%の関税を課し、日本には14%の上乗せ分(一時停止中)を加える。これとは別に、自動車や鉄鋼、アルミニウムには25%の追加関税を課している。日本側は全ての関税撤廃を求めているのに対し、米側が協議対象とするのは14%の上乗せ分のみ。協議の入口から限定する米国の横暴を許すわけにはいかない。
 日本側は交渉カードとして、輸入車審査の特例拡充や、米国産のコメや大豆、トウモロコシの日本への輸入拡大策などを検討しているとされる。この交渉が強行されれば、日本のコメ生産は大打撃を受ける。 
 社民党は7月参院選の公約に「農家の所得を補償し、食料自給率50%を実現する」と掲げている。日本の農業を守るため、社民党は全力で参院選を戦う。