
シンポジウムで発言した人たちが記念撮影。(6月4日、東京・文京区民センター)
高市早苗首相は今年2月の衆院選で自民党が大勝したことを受け、改憲に向けた動きを強めている。こうした中で、共同テーブル主催のシンポジウム「ワイワイトーク 護憲ルネッサンス」が6月4日に東京・文京区で行なわれ、約120人が参加した。
平和的生存権を守る
シンポ第1部の問題提起で、最初に上智大学教授(政治学)の三浦まりさんが発言した。
三浦さんは、現在の日本の政治状況について、「(いくつかの)政党はヘイトや排外主義をうまく利用し、勢力を拡大している」とした上で、高市首相の支持率が高い理由について、「元気で新しい女性が出てきたという刷新性だけだが、メディアの報道力や批判力が弱まっていることもある」と指摘した。
他方で、高市首相に対する「逆説的なロールモデル(規範人物)効果もある」と指摘し、国会前などでペンライトを手に高市政治に反対する若い女性らが増えている現象を紹介した。
三浦さんは、「憲法を守る」ことが「一国平和主義だ」「お花畑だ」との指摘に対し、「憲法は世界の全ての人に『平和のうちに生存する権利』があることを規定している」と語った。
その上で、「排外主義が強まる中で、憲法前文の精神を活(い)かそうと考える人が着実に増えている」と護憲運動の意義を語った。
国家主義に抗して
続いて、社民党幹事長のラサール石井参院議員が発言した。
ラサール議員は、国会に今後提出が予想されるスパイ防止関連法案について、「政府を批判する日本人が捕まることになれば、『声を上げるのはやめよう』と考える人が増え、マスコミも国家機密とされそうな案件を調べなくなる」と懸念を示した。
高市政権が推し進める国旗損壊罪法案についても、「法制化されれば、『国旗の前では必ず最敬礼しよう』と言い出す学校が出てきかねない。そうやって、法律にないことまでやらされるようになる」と警鐘を鳴らした。
市民が外交の現場に
続く第2部で、公募で選ばれた12人がリレートークを行なった。
在日30年以上のイラン人で「私たちのイラン」で活動するエラヘ=ジャフャルザデさんは、少し前に沖縄を訪れた際の話をして、「戦争によって命を失う人々の悲しみは、国境を越えて同じだ。沖縄の涙も、イランの涙も、ガザの涙も、ウクライナの涙も、すべて人間の涙だ」と語った。
その上で、「戦争を望まない人々の声を伝えたい。そして、世界中で苦しむ人々の声を伝えたい」と締めくくった。
「平和のための日本民衆外交団」で活動する星野裕史さんは、ガザでのジェノサイドやイランへの軍事攻撃が続く中でイランなど関連国の大使館を訪問する活動を紹介し、「憲法を改悪から守るだけでなく、前文にあるとおり、覇権にこだわる米国に隷従する日本を変え、世界の平和と人権・生命を守る闘いを行なっていくべきだ」と語った。
労働運動と平和運動
東京東部労働組合の須田光照さんは、自身の労組について「労働条件の向上を求めると同時に、戦争反対の政治闘争にも力を注いでいる」と紹介した。
その上で、60年前に日本の約200万人の労働者がベトナム反戦を掲げてストライキを行なった歴史を紹介し、「労働者が団結すれば、殺傷兵器を生産することはできないはずだ」として、「戦争を止める労働運動」の意義を語った。
このほか、地域で活動する方々や大学院生・地方議員らも発言した。
ラサール議員は須田さんの話を受け、労組が平和や護憲を訴えることの重要性を語った。三浦教授は皆の話を受け、「現場で闘う方々の危機感がよく伝わってきた」と感想を述べた。