社会新報

【主張】精神疾患退職の教員増 ~ 過度に競争的な教育制度を見直して

7月23日付『毎日新聞』の記事を見て驚いた。2024年度に精神疾患を理由に退職した公立小中高校の教員が過去最多の1319人に上ったというのだ。文科省の調査結果が同月22日に出され、判明したのである。
この数は21年の前回調査の約1・4倍に当たる。初めて1000人を超えた。これは異常事態ではないか。なぜ現場の教員がこれほど多数、精神疾患を理由に教育現場を離れなければならないのか。おそらく高い理想、熱い志をもって教育現場に入ってきた人たちではないか。志半ばで教職を断念せざるを得なくなったことをどんなに悔しく思っていることだろう。
文科省の担当者は、多様な児童生徒への対応や職場での人間関係、事務的な業務負担の増加などが関連している可能性を示唆しているようだ。対策としては、メンタルヘルスの取り組みを喫緊の課題として、引き続きの対策を進めるということらしい。しかし、このような通り一遍の対策で、1000人以上もの教員が精神疾患で退職するなどという異常事態を改善することができるだろうか。
そもそも、子どもの権利条約がきちんと履行されているのかに関する日本政府の報告書に対し、国連・子どもの権利委員会から「日本の学校制度が過度に競争的であり、入試制度や学力に関する仕組みが子どもに与える否定的な結果を避けるため、制度の再検討をするよう」との勧告を、1998年以来4回も受けてきた。的確な勧告をこの間、無視し続け、今も放置している文科省の不作為が、昨今の中高生の自殺者の最大化の原因と考える。そして教員の精神疾患に起因する退職者1319人を生み出した原因でもある。日本の過度に競争的な教育制度がもたらす強いストレスが、子どもたちと教員に悪影響を与え、その心といのちをむしばんできたのだ。
ならば真の改善策は明白である。受験競争をなくすために、教育制度の抜本改革をまず行なうこと。その中心は昔、日教組が主張したように、高校を義務教育機関とすること。総合制(座学だけでなく、技術や農業を全員が学ぶ)と男女共学を原則とする総合制高校にする。そして、教員の自治復権である。かつて教職員会議は子どもを中心に据えた、自由闊達(かったつ)な議論の場だった。定数増も大事だが、教員・学校の自治復権こそが学校再生の鍵と考える。