
東京都心にある高さ約270メートルのビルより低く飛ぶ米軍ヘリ。(©️2026 大墻敦・毎日新聞社)

映画のポスター。(©️2026 大墻敦・毎日新聞社)

日本記者クラブで会見する(左から)サンデー毎日編集長の大場さん、監督の大墻さん、プロデューサーの銭場さん。(9月7日)
見てから読むか、読んでから見るかーー。毎日新聞社と映画監督の大墻(おおがき)敦さんが共同で製作したドキュメンタリー映画『東京上空300メートル』が完成し、10月10日からポレポレ東中野(東京)など全国で順次公開される。
『毎日』が2020年から掲載してきた調査報道「特権を問う」シリーズをもとに、新たな取材・撮影を約2年間加えて映画化した。「特権を問う」では、大場弘行記者(現・『サンデー毎日』編集長)らが東京都心で約半年に及ぶ撮影を敢行。「ブラックホーク」などの米軍ヘリが、最も高い建物の上空300メートル以上という最低安全高度を定めた日本の国内法を無視して270メートルのビルよりも低い危険で違法な飛行を続けている実態をスクープした。
日米地位協定は1960年の締結以来、一度も改定されていない。在日米軍幹部と日本政府高官の協議の場である日米合同委員会は、議事録がほとんど公開されず、密約が交わされてきたと指摘される。「特権を問う」は100本を超える記事を発出し、「日米同盟」の実像をあぶり出し、書籍『首都圏は米軍の「訓練場」』(毎日取材班・大場記者著、2025年、藤原書店)に結実した。
24年3月に公文書問題を取材する大墻監督と大場記者が出会い、映画製作の契機となった。作品は第1章「日本の空は誰のものなのか」、第2章「誰が犯人を逃がしているのか?」、第3章「米軍基地は誰のためにあるのか?」、第4章「星条旗と日本人」ーーで構成される。東京・六本木の米軍施設「赤坂プレスセンター」と東京西部の横田基地、基地が集中する沖縄を主な舞台としている。
9月7日、日本記者クラブで同作品の試写会が開かれ、大墻監督と「特権を問う」取材班デスクの銭場裕司プロデューサー、取材・撮影を担当した大場記者が会見した。同記者は、「新聞社がテキスト(文字)だけで生きていく時代は終わった。記者も動画を撮るべきだ。今回の試みが新聞社に大きな希望となるだろう」と語った。日米地位協定問題について、「沖縄の問題として片づけられ、関心が薄い。首都東京の問題として取り上げ、関心を高めたかった」(銭場さん)、「沖縄出身の記者が『日米地位協定の記事を書いていると暗闇に石を投げているようだ』と語ったが、この状況を乗り越えていかなければならないと感じて製作した」(大墻監督)と述べた。
また、米兵による性暴力被害者のキャサリン・ジェーンさんが試写会に参加し、「日米地位協定を改定しなければ性暴力はなくならない。関心を持ってもらうために、映画は大変重要だ」と熱いエールを送った。