社会新報

【5・15沖縄平和行進報告ー上】基地のない平和な沖縄を ~ 韓国平和団体が熱く連帯

平和行進の出発地点である嘉数高台公園で。前列左5人目から服部幹事長、権さん、大椿副党首、山城さん、新垣副党首。(5月17日、宜野湾市)

宜野湾市内を行進する東京・三多摩の参加者たち。

 

(6月12日号より)

 

 今年5月13日で日本復帰から53年となった沖縄県で同月17日、基地のない沖縄の実現などを訴え、平和行進や県民大会が行なわれ、主催者発表によれば、2000人が行進した。
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 社民党からも、新垣邦男副党首(衆院議員)と参院選比例代表予定候補の大椿ゆうこ副党首(参院議員)、服部良一幹事長、同じく比例代表予定候補の山城博治さんらが参加。
 今回は韓国から政界・市民運動の重鎮、権永吉(クォン・ヨンギル)さん(84)など社団法人「平和鉄道」のメンバーら19人が社民党と共に行動した。一行は平和行進と県民大会に参加したほか、嘉手納基地周辺や沖縄戦での集団自決の戦跡などを訪れ、平和への願いを共有した。 

アジア平和へ日韓連帯

 権さんは、韓国の労働組合のナショナルセンター「全国民主労働組合総連盟」初代委員長、韓国の政党「民主労働党」結成時の代表などを歴任。今回は南北朝鮮の平和などを訴える社団法人「平和鉄道」の代表として来沖した。
 権さんは「沖縄の基地問題は、韓国にとってもアジアの平和という点で非常に重要だ。これまでも個人的に沖縄を訪問する韓国の活動家たちはいたが、今回は団体として訪問した。日韓の平和運動のより一層の強い連帯を得たい」と来沖の意義を語る。
 平和行進・県民大会の前日に沖縄入りした訪問団は、服部幹事長と共に県営平和祈念公園(糸満市)で、韓国人慰霊塔を視察した。太平洋戦争では、沖縄でも1万人余りの韓国人が日本軍に徴兵・徴用され、命を落としたとされる。
 平和行進・県民大会の当日17日は、地球温暖化の影響を感じるような季節外れの暑さとなったが、平和行進の普天間基地側の出発地点である嘉数高台公園(宜野湾市)には、大勢の人々が集まってきた。嘉数高台公園は、沖縄戦の激戦地となった丘にあり、園内には日本軍が築いたトーチカや陣地壕などが今なお残る。
 訪問団は、平和行進の前に、この公園の展望台に上った。米軍の軍用機がものものしく配備された普天間基地が視界に広がり、いかに広大な土地を占有しているかが分かる。訪問団は、今なお実質的に続く米軍による沖縄占領を実感した。
 服部幹事長は、訪問団に「政府は普天間基地を閉鎖するとしながら、辺野古に基地を移転しようとしていて、私たちはそれに反対している。その運動のリーダーとして活躍してきたのが山城さんだ」と解説した。
 権さんは「韓国でも米軍基地を閉鎖したら別のところに移転した。普天間からの米軍機は韓国の射爆場で演習を行なった。私たちにとってもひとごとではない」と語った。
 平和行進の出発集会で、新垣・大椿両副党首と山城さんが訪問団と合流して記念撮影。日韓の連帯を固めた。平和行進は読谷村と宜野湾市の2ヵ所が出発地となり、米軍基地の周囲を通って、県民大会の会場となる北谷町の野球場までの約12㌔を歩くというコース。 「基地のない平和な沖縄をつくろう」「憲法9条を守ろう」と訴えながら、基地と隣り合わせの街道をねり歩いた。

新垣・大椿・山城の3氏訴え

 同日、社民党は街宣も行ない、新垣・大椿・山城の3氏がマイクを握った。
 大椿副党首は、沖縄戦で犠牲となった「ひめゆり学徒隊」の記録を展示する「ひめゆりの塔」について自民党の西田昌司参院議員が「歴史の書き換え」と発言したことを強く批判。「あなたたちこそが歴史を改ざんしていると、国会の中でしっかりと発言していく」と誓った。
 山城さんは「医療費や介護費など出費だけが爆上がりをする生活の苦しい中、政府は米軍ばかり優先している」と指摘し、「社民党は、防衛費を私たちの暮らしに回せと言い続けている。政治を変えよう」と訴えた。新垣副党首は、「県民、国民の生活を省みない政治は参院選で終止符を打つ。そのためにも、大椿さん、山城さんを国会に押し上げたい」と参院選での社民党への支持を呼びかけた。
(次号に続く)

 

韓国人慰霊碑公園で、権さん(右から2人目)や服部幹事長(中央)。(5月16日、糸満市)