社会新報

狭山事件の再審を求める市民集会 ~ えん罪訴え続け無念の死 再審制度の抜本見直しを

福島党首が連帯のあいさつで、狭山弁護団の一人として頑張ると決意表明。(5月22日、日本教育会館)

妻の石川早智子さんが第4次再審請求の闘いへの決意を訴えた。

 

 

「狭山事件の再審を求める市民集会」が5月22日、都内で開催され、1000人(主催者発表)が参加した。
市民集会は昨年まで日比谷野外音楽堂で行なわれてきたが、改装工事のため、今回は日本教育会館に会場を移して開催された。
冒頭、西島藤彦部落解放同盟中央本部委員長があいさつ。「第4次再審請求裁判の裁判官が今年3月に替わり、新しい裁判官となった。3人の合議制で行なう裁判官のうち2人が替わるという状況の中で、第4次再審請求の闘いが始まった」と述べ、「3月末には検察側が狭山裁判弁護団が提出した証拠に対する反論を行ない、その中で東京高裁は、速やかに再審請求を棄却すべきという文言があるなど、とんでもない暴挙に出てきた。われわれは東京高裁に対して、証人尋問の実施とともに再審開始を強く求めていきたい」と訴えた。

福島党首が弁護団の一員として決意

来賓として参加した社民党党首の福島みずほ参院議員は、「62年無実を叫び続け、無念のうちに死去した石川一雄さんのため、私は狭山事件弁護団の一人として頑張っていきたい。また、えん罪被害者の救済のため、再審法改正を目指す議員立法案が提出されているが、これが政府法案に反映されるようにしていきたい」と強調した。

石川早智子さん「時間は止まったまま」

妻の石川早智子さんも「石川が亡くなってから、私の時間は止まったままだが、何としても雪えん(無実を明らかにすること)を果たしたい」と訴えた。
会場では、今年の夏に公開準備を進めている『うそがほんとうに ほんとがうそに』(金聖雄監督)の予告編が上映された。
この映画は、無罪が確定した袴田事件の袴田巌さんと、いまだに再審裁判の扉が開かない狭山事件の石川一雄さんという、2つのえん罪事件を並べ、家族のささやかな日常に寄り添った情景を丁寧に描いており、参加者は熱心に鑑賞していた。
また、えん罪被害者の連帯アピールが行なわれた後に、特別報告として、鴨志田裕美弁護士から「再審法改正の現在地」と題する特別報告が行なわれた。
鴨志田弁護士はスライドを使用し、刑事事件の再審制度を定めた刑事訴訟法の問題点を解説した。「問題点の第1は、袴田事件では第2次再審請求審で初めて袴田さんの無実を示す証拠が多数開示されたように、証拠開示のルールがなかったことだ。第2は、再審開始決定に対する検察官の不服申し立て(抗告)が再審手続きを無用に長引かせてしまうこと。2014年に静岡地裁で再審開始決定がなされたものの、検察が即時抗告を行ない、東京高裁の取り消し、最高裁の破棄差し戻しを経て、9年後に再審開始が決定するなど、裁判が長期間にわたってしまった」と語った。

抗告の余地を残す政府法案

鴨志田弁護士は、政府が5月15日に国会へ提出した再審制度を見直す刑事訴訟法改正案について、抗告を全面的に禁止していない点や証拠の開示範囲が狭く、証拠の扱いで「目的外使用」に刑事罰を付すなどの多くの問題点を指摘した。
一方、議員立法が先行して国会提出されてきた。昨年6月に社民党など野党6党が抗告の全面禁止などを求める改正案を衆院に共同提出したが、今年の衆院解散で廃案になった。今国会には、中道改革連合や日本共産党など3党が議員立法として、再審における証拠開示や抗告の全面禁止、先入観を持った裁判官の除斥と忌避、裁判期日の指定の4点を盛り込んだ法案を衆院に共同提出している。「議員立法に沿った修正を獲得して法案を成立させることが大切だ」と訴えた。
鴨志田弁護士は「審理の長期化で、大崎事件の元被告人である原口アヤ子さんは99歳、名張毒ぶどう事件の再審請求人・奥西勝さんの妹さんは96歳。再審を求める者の命が尽きようとしている。国会は唯一の立法機関であり、審議でえん罪被害者のための法改正を実現すべきだ」と強調した。
最後に市民アピールとして、ルポライターで狭山事件の再審を求める市民の会事務局長の鎌田慧さんが「与野党が協力して、法務省や検察に立ち向かうような大衆運動を起こしていこう」と述べた。

集会終了後、参加者はデモ行進した。(6月11日号より)