
東京・市谷にある防衛省。特例法は首長の許可なしに頭越しで防衛大臣が招集をかける内容で、憲法の定める「地方自治の本旨」に反するもの。
2026年6月10日に「予備自衛官等兼業特例法」が成立しました。これは軍事優先に合わせて、自衛隊や予備自衛官の慢性的な人員不足を解消し、兵力増強を図るものです。
この「特例法」によって、国家公務員や地方公務員の職務専念義務が免除されます。予備自衛官採用の際に任命権者(自治体では知事・市町村長)から「兼業」の承認を得ると、それ以降の招集時には所属長の許可は不要になります。また招集期間は、年休扱いにもならず、そのまま公務職場の賃金は満額が得られ、予備自衛官の手当も得られるとしています。
防衛省は「有事や災害の際に招集される予備自衛官」としていますが、すでに地方公務員による大規模地震などの被災地への中長期の派遣は行なわれています。したがって実質的に、軍事のための予備自衛官の招集となります。
この間、全国の自治体職員数は、削減され続け、諸外国の中でも最低レベルです。すでに自治体職場は多忙化の中で長期病休者は最多となり、定期健康診断有所見率(健康不調率)も民間職場を超えて最悪傾向が続いています。
しかも、招集は自治体議会の審議や自治体職場の繁忙状態とも関係なく、国家の一方的な判断で実施されます。自治体職場に混乱をもたらし、職員のさらなる多忙化となり住民対応を粗雑にするものです。
また防衛省は「予備自衛官などの採用はあくまでも本人の自由な意思に基づくもの」(6月14日)としていますが、それは予備自衛官になる際の「本人の意思」に限られ、その後の招集において「本人の自由」など、尊重されるわけがありません。これは今後狙われている労働法明文改悪の「個人契約」の先取りでもあります。
法案の段階でも、全国知事会、全国市町村会との事前の相談協議もありませんでした。「地方自治の本旨」(憲法)を放棄し、「住民の福祉の増進」(地方自治法)とする自治体のあり方の基本を破壊するものです。これは、自治体を国家の下部機関として「新たな戦前」から「新たな戦中」にむかわせるものです。この制度は当然、公務職場にとどまらず、教育・民間職場にも広げられます。低賃金とインフレが強まる中では「経済的徴兵制」から徴兵制へ向かうもとになります。
社会民主党自治体議員団は、平和と暮らしを守るためにも、全ての人々と結びつき、この「特例法」と闘い、廃止に向けて全力を尽くします。(6月17日)