(社会新報3月20日号)
2025年度の修正予算案が3月4日、衆院本会議で与党自公に加えて日本維新の会を含む賛成多数により通過した。70年ぶりの当初予算案から減額修正となった一般会計の総額は、過去最大の115兆1979億円だ。しかしながら、予算案の実態は軍事費の大幅増額で軍拡路線をさらに進める一方で、過去最大の社会保障費と言いつつ、高額療養費制度の上限額引き上げや医療費削減の動きがある「棄民」の予算案だ。
軍事予算案は8兆7005億円であり、その中身はミサイルや戦闘機など武器の爆買いや、全国のミサイル基地などの建設、辺野古基地建設、そして、武器ローンの返済。過去に契約した武器ローンの返済が軍事予算案の5割弱を占める。今年度も6兆8953億円もの武器ローンを計上し、総額は15兆6628億円となり、借金返済が今後の予算編成に大きな禍根を残すのは明らかだ。
また、予算案と共に軍拡増税関連法案も衆議院を通過した。さらには、先日の石破首相とトランプ大統領との日米首脳会談の共同声明で、「27年度以降も抜本的に防衛力を強化する」と表明した。軍拡最優先の自民党政治が私たちの暮らしを圧迫する。
過去最大となった社会保障関連予算案だが、今年8月から「高額療養費制度」の上限額の引き上げを強行。さらに、自民・公明・維新の会の3党合意には、社会保険料負担減のために国民医療費を年額4兆円削減する方針を念頭に置くことが明記された。削減策として、OTC類似薬(市販薬)の保険給付のあり方の見直しが掲げられた。OTC類似薬を保険医療の対象外にすることは、自己負担が増えるだけでなく、適切な診察を受けず病状が悪化する患者が続出してしまう。
軍事最優先で私たちの生命を危機に陥れる本年度予算案を通すべきではなかった。参院選に向けて成果を最優先するのではなく、本予算全体に責任を持つ姿勢が野党のあるべき態度だ。
予算案の審議が参議院へ移った直後、石破首相は「高額療養費制度」の今年の上限額引き上げを凍結し、参院選後の秋に結論を出すこととなった。さらに、提出予定である「年金改革関連法案」がいまだ提出されない。参院選への影響を懸念して、与党内で国会提出を見送ろうと画策している。参院選を意識するあまり、石破首相が迷走している。野党側は攻勢を強めるチャンスだ。