【主張】参院選を戦う ~ 社民党の正念場は平和憲法の正念場
(社会新報5月8日号より)
来る参院選は社民党の国政政党要件がかかった重要な選挙戦となる。3年前の参院選もそうだったが、福島党首の改選期と多くの皆さんの危機意識もあり2.37%獲得して持ちこたえることができた。昨年の衆院選では残念ながら比例票は93万4598票、1.71%に留まった。岩盤支持層の存在を実感する一方で、与野党逆転の受け皿にはなれず、とても社民党に追い風が吹いている状況ではなかった。党員の高齢化が進み、国会やマスコミでの党の見える化に限界がある中で今年の参院選も厳しい展開が予想される。
野党の連携についても戦争法(安保法制)に反対し立憲主義を取り戻すとして全国で盛り上がった10年前とは隔世の感がある。国会の話題の中心は与党と連携した手柄取り競争になり、平和やエネルギー政策と言った国の基本政策の議論は下火だ。多くの野党も戦争できる法や態勢構築に抵抗する勢いはない。平和憲法の理念は著しく浸食され、事実上の大政翼賛国会と言っても言い過ぎではないだろう。
しかし皮肉にも世界の「法と民主主義の秩序」がその盟主・トランプ米国によって壊されかけている。日米同盟に対する信頼感・安心感も大きく揺らいでいる。南西諸島の軍事力強化が進む一方でほんとに米国が血を流してでも日本を守るのか、戦場になるのは沖縄・日本ではないのか、結局踊らされているだけではないのかという疑念。
関税をめぐる交渉では自動車や農産品の規制緩和、すなわち安全基準の緩和を進めて国民・市民の安心安全を守れるのか。思いやり予算や軍事費を増額し米軍への従属一体化を進めるのか、否、今こそ自主独立の全方位外交へと一歩踏み出す時ではないか。
今年は戦後80年を迎える。4月初め、中国から重慶市の空襲被害者や常徳市の細菌戦被害者遺族、弁護士一行20人が沖縄を訪問し、地元マスコミが連日大きく報道した。沖縄県は池田副知事が面談し、読谷村チビチリガマ慰霊祭では中国の臨済宗の住職が読経、戦争被害の体験を聞く市民集会には300人が集まった。沖縄に配備されるミサイルの標的にもなる中国からの戦争犠牲者の訪問と交流は、沖縄が被害者にも加害者にもなり得ることを再確認する機会となった。戦争準備が進む今こそこうした交流が重要であり戦争の抑止になる。
戦争体験から生まれた平和憲法を後世に引き継ぐために、社民党の存在は不可欠だ。