高市早苗首相は10月24日、所信表明演説を行なった。「外交・安全保障」に関わって「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻します」とした上で、『対GDP比2%水準』について…今年度中に前倒して措置を講じ」「来年中に『3文書』を改定する」と表明した。
来日したトランプ米大統領との首脳会談で、高市首相は防衛費の増額に取り組む決意を伝え、「日米同盟の新たな黄金時代」を呼びかけた。
米国の求めに応じて防衛費を増額し、米国製兵器を「爆買い」することがどうして「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」なのだろうか。
国民生活を圧迫する大増税路線に直結することは明らかであり、地域の住民にとっては「黄金時代」どころか、平和と生活を根底から破壊する暗黒の時代となりかねない。
防衛省は8月末、敵基地攻撃能力を持つ長射程ミサイルを来年3月ごろに陸上自衛隊の富士駐屯地(静岡県小山町)と健軍駐屯地(熊本市)に配備すると発表した。その後、27年度にかけて北海道や関東、九州の駐屯地や基地などに配備するとしている。このミサイルの射程は1000キロを超え、射程圏内には中国の沿岸部が含まれる。
健軍駐屯地は熊本市の中心部にあり、近くには市民病院や住宅、商店、学校なども立ち並んでいる。住民からは「有事の際に敵の標的となるのではないか」と不安の声が上っている。当然のことだ。
また日本最西端の島・与那国島では自衛隊の基地増強が進んでいるが、診療所の医師が今年度末で撤退する方針が派遣元から示された。このままでは医師のいない島になりかねない。離島であるだけに、事態は深刻だ。
これまでに特別養護老人ホームが閉鎖され、薬剤師もいなくなったという。人間としての生活を営む最低限度の人材、施設がなくなろうとしている。
さらに「台湾有事」にあたっては沖縄県の先島諸島の住民が九州7県と山口県へ避難する計画が示されている。その非現実性は各方面から指摘されているが、避難先とされる地域が安全といえないことは熊本県に長射程ミサイルが配備されようとしている一事をもって明らかだ。
社民党は、高市政権のもとで進む大軍拡、国民生活破壊に真正面から対決していく。(11月6日号より)