社会新報

【主張】国家情報会議設置法案 ~ 軍事と表裏一体のインテリジェンスは危険

政府のインテリジェンス(情報収集・分析)の司令塔となる「国家情報会議」を創設する法案が4月10日、衆院で審議入りした。同法案はその目的として、世界の安全保障環境が流動化する中で安保防衛の重要情報や外国によるスパイ活動に対応することなどを掲げる。
骨格は以下のとおり。国家情報会議のトップに首相を据え、官房長官や法相、外相らの閣僚で構成する。内閣官房の内閣情報調査室(内調)を「国家情報局」に格上げして国家情報会議の事務局とする。内調のトップの内閣情報官を国家情報局長に格上げする。
日本の情報機関は、内閣、警察庁、外務省、防衛省、公安調査庁に存在するが、首相直轄の国家情報局に各省庁の情報を集約する「総合調整権」を与え、情報を一元化する狙いがある。
国家情報会議の設置は高市政権の掲げる重要政策で、その次に「スパイ防止法」制定と「対外情報庁」創設が続く。この3つはセットで、昨年10月に交わされた自民党と日本維新の会の連立政権合意事項に盛り込まれている。
同法案の危険性の第一は、そもそもインテリジェンスという言葉が軍事と表裏一体の関係にあることだ。旧日本軍はインテリジェンスを「諜報(ちょうほう)」と訳した。諜報とは敵国の情報を秘密裏に集め、分析する活動で、軍事戦略に重要な役割を果たす。諜報などの情報収集体制の強化は、市民への監視強化につながり、プライバシーを侵害する恐れがある。木原稔官房長官は10日の国会審議で、プライバシーに配慮する条文を設ける必要性について「感じていない」と否定した。
法案審議で高市早苗首相は、外国勢力による偽情報の拡散工作は調査対象となるが外国勢力と関係のない市民団体の活動は対象外だと述べている。しかし、そのような厳格な線引きを本当にできるのか疑問だ。
法案の危険性の第二は、透明性の確保が困難なことだ。英国など諸外国では、情報機関を監視する機関の設置が定められているが、今回の法案では監視機関の設置が含まれていない。政府がどのような情報分析に基づいて軍事作戦やテロ防止、緊急事態対応などの意思決定をしたのか、検証することが事実上不可能だ。情報収集では、時の政治権力者による恣意(しい)的な運用が懸念される。
社民党は危険な国家情報会議設置法案に反対し、廃案に全力を挙げる。