社会新報

【主張】NPT再び決裂 ~ 核軍縮をあきらめてはならない

4月27日から5月22日まで、ニューヨークの国連本部で核不拡散条約(NPT)運用検討会議が開催された。NPTは1970年に発効した国際条約で、67年1月までに核兵器を保有していた米ロ英仏中の5ヵ国を「核兵器国」と定めて核兵器の保有を認め、それ以外の「非核兵器国」の核兵器保有を厳しく禁じた。非核兵器国はIAEA(国際原子力機関)の査察を受けて核開発を制限される一方、核兵器国は「核軍縮条約について誠実に交渉する義務」を負うという、非対称な内容の条約だ。イスラエル、インド、パキスタンなど、条約に加入せず核兵器を保有している。
NPTの当初の期限であった1995年の「NPT運用検討会議」では、この不平等な条約の構造や核兵器国の不誠実な姿勢に対する不満が噴出。条約の延長の条件として設置されたのが、5年ごとのこの「運用検討会議」であった。
2000年の最初の運用検討会議では、①CTBTの早期発効②核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の5年以内の妥結③核全廃の「明確な約束」④STARTの継続  などが合意されたが、2回目の05年には合意文書が採択できず、10年の第3回会議は、「明確な約束」の再確認と核兵器国への進捗(しんちょく)報告の要請程度にとどまった。
15年の第4回、22年の第5回(コロナ禍のため延期)、今回の第6回運用検討会議と、3回連続で決裂した。NPTが無期限延長されて「普遍化」した直後の初回である2000年以外、めぼしい成果がない。
今回は冒頭から、イランの核開発疑惑や、米国とイスラエルのイラン攻撃について、非難の応酬が続いた。ロシアはウクライナに核使用の脅しをかけ、フランスは米国不信を背景に「核の傘」の拡大を表明した。米ロの「新戦略兵器削減条約」(新START)は今年の2月に失効したままだ。中国も自らの核軍縮には消極的な姿勢に終始した。妥協が成立しないのは当然だ。
核軍縮を議論する枠組みとしてはNPTに加えて「核兵器禁止条約」(TPNW)がある。核兵器国は参加していないが、21年に発効し、NPTを補完する役割が期待されている。日本が核保有国と非保有国の「橋渡し」を自任するなら、11月に予定される核禁条約の第1回再検討会議でのオブザーバー参加を真剣に検討すべきだ。