安定的な皇位継承への皇室典範改正をめぐり、衆参両院の正副議長は8日、「立法府の総意」案を各党派の代表者に示した。
同案の概要は、2021年12月22日の有識者会議報告書で示された皇族数確保の具体的方策のうち、①女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ②皇室典範で禁止されている皇族の養子縁組を可能にし、旧11宮家の男系男子を対象にする の両案を了とし、その法制化を求めるというものである。
24年以降の全体会議の論点は、女性・女系天皇に関する議論を意図的に排除するものであり、社民党は同案を立法府の総意とすることに反対である。
そもそも皇室典範は日本国憲法の下にある法律であり、また憲法第98条第2項により条約は国内法の上位に位置付けられる。憲法や女性差別撤廃条約の理念を反映せねばならない。
憲法第14条第1項が性別による差別を禁止していること、また24年10月に国連女性差別撤廃委員会が男系男子に皇位継承を限定する皇室典範を改めるよう勧告していることを踏まえた改正を議論すべきであった。
第1案について、とりまとめ案に特段の言及はないが、社民党としては皇族を離脱するか残るかどうかについて本人が選択する自由を保障すべきだと考える。ある党は、一代限りの准皇族として皇族同様の扱いとすることを提案したが、憲法第14条第2項が華族その他の貴族の制度を禁止していることと整合しない。
第2案について、社民党は反対である。憲法第3章が規定する国民としての各種の権利・義務を、出生時から今日に至るまで享受してきた人を皇族とすることは、国民と皇族との区別を曖昧にして混乱を生じさせ、憲法第14条の禁じる門地による差別に該当する。
また誰を養子に取るかの判断は極めて恣意(しい)的になる可能性があり、「主権の存する日本国民の総意」から大きく乖離(かいり)する可能性を否定できない。
森議長からは、とりまとめ案はある程度具体的なものを想定しつつも幅の広い書きぶりとしており、具体的な制度設計は内閣に委ねる旨の説明があった。立法府の総意が、「有識者会議案を丸のみし、詳細は内閣に丸投げ」ということであってはならない。主権者の総意とも大きく乖離した結論を拙速にとりまとめて法制化に進むことに、社民党は強く抗議する。