社会新報

【主張】気候危機に脆弱な原発 ~ この夏、欧州では原発が止まった

今年の6月から7月にかけて欧州各地を熱波が襲った。フランスのパリでは、40度を超える日が続き、エアコンを買うため争奪戦が起きた。
それどころか、猛暑による川の水温上昇のため、8月13日時点で原子炉6基が運転を停止した。川の水温が上がったり、水位が下がったりすると、原発の冷却水として使えないだけでなく、温排水が生態系に与える影響が大きくなるために、運転を停止しなければならないからだ。運転停止や出力抑制のために、原子炉の稼働率は20%近くになった。さらに、北部の海沿いにある原発は、海水温上昇のため異常繁殖したクラゲが取水口に詰まり取水ができなくなり、5基が数日間停止した。
フランスばかりか、ハンガリーでもドナウ川の水位の低下で、国内唯一の原発が44年の歴史を通じて初めて、運転の完全停止を余儀なくされた。ハンガリーの首相は停止後に必要な冷却水は確保できているから安全性に問題はないと言っていたが、もしも熱波が再来し雨が降らない時期が続いたなら、どうするつもりだろう? 原発は運転停止後も、燃料棒を冷やし続けなければならない厄介者だ。
欧州では、原発をめぐるこのような事象は2022年ごろから起こっている。つまり、ここ数年の熱波による気温上昇が河川の水温上昇を招き、原発運転に必須の冷却水を取水できない事態になっているのだ。原発は気候危機に対してはまことにぜい弱であることを露呈している。エネルギーの7割を原発に頼っているフランスは、エネルギー政策を直ちに転換しなければ、産業と社会生活が維持できなくなるのではないか。
翻って日本はどうなのか。日本の原発はすべて海水を冷却水に使っている。気候危機によって海水温は上昇している。原発が数多く立地する新潟県や福井県では近年、降雪量が増えているわけではないが、ドカ雪が降る確率が上がっている。それは、日本海の海水温が上がり、水蒸気が増えたため、大陸から来る北西の冷たい風が雪雲となる量が増え、一気にドカ雪となるためだそうだ。
新潟や福井の原発では海水温の上昇が直接冷却に支障を及ぼしているわけではないが、過酷事故が起きた場合、住民はドカ雪の中逃げることはできなくなる。救援に駆けつけることもできない。この意味で、日本の原発もまた、気候危機にはぜい弱なのだ。(9月10日号より)