社会新報

下総基地のPFAS土壌調査を ~ 政府は「科学的知見を注視」と語るのみ

政府に土壌調査を求める福島党首。

 

 社民党の福島みずほ党首や市民ネットワーク千葉県共同代表の川口絵未県議らは4月21日、参院議員会館で、海上自衛隊下総基地(千葉県)の排水口から有機フッ素化合物(PFAS)が検出された問題で、政府と意見交換を行なった。
 同基地内の排水口で暫定目標値(1リットル当たり50ナノ㌘)を超えたPFASが検出され、また基地周辺の民家の土壌調査でも高濃度のPFASが検出されている。自衛隊の基地の排水口からのPFAS流出が確認されたのは全国で初。
 環境省はPFAS流出を認めたが、「(かつて基地で使用していた)泡消火剤との関連性は分からない。土壌調査をすることは考えていない。科学的知見に注視し、関係自治体と連携を図っていきたい」という回答を繰り返した。
 川口県議は「県も汚染源は下総基地であると認めた。高濃度が検出された排水口の土壌調査を早急に実施すべきだ」と訴え、福島党首は「防衛省と環境省のどちらがやるのか」と追及したが、「科学的知見にもとづいて周辺自治体と適切な対応をしていきたい」と繰り返すのみであった。
 参加者は「基地周辺の鎌ケ谷市や柏市では井戸水を飲料にしている住民も多くいる。すでに鎌ケ谷市は井戸水を利用している住民の血液検査や健康診断を行なっている。水道を引くにもお金がかかる。安心して水が飲めるよう財政援助を」と求めたが、やはり「科学的知見に注視したい」という答えだけで、PFASとの関連性を認めなかった。
 基地では、従業員の飲料水として柏市の水道水を使用している。福島党首は「PFASは隊員の命の問題でもある。基地で働く自衛隊員などが最も被害を受けることになる」として、周辺自治体や基地内で土壌調査を早急に実施するよう強く求めた。