社会新報

福島党首と教育学者の本田由紀さんが対談 ~ 高市政権の暴走を許すな~ 抗議する若者らに希望

福島みずほ党首と本田由紀さん(左)がしっかりと握手。

 

社会民主党の福島みずほ党首と教育学者で東京大学大学院教授の本田由紀さんが、このほど対談した。高市政権下の国家主義的な法制定の強行や教育現場への締めつけについて語り合った。全文は『月刊社会民主』8月号に掲載される。

本田さんが5月29日に行なわれた国会前での「戦争させない緊急アクション」で行なったパンチの効いたスピーチは大いに話題になった。福島党首がこれについて聞くと、本田さんは「自民党にはずっと腹が立っています。『これはさすがにありえない』ということが目の前で次々と起きていて、さらに悪化していると感じている」と語った。
本田さんは高市首相が各国首脳の前で歌ったり踊ったりする振る舞いについても、「普通そんなことしないでしょうということをやりだす。もう嫌で嫌でしょうがない気持ちがずっとあって。『そこをどけ』とか、そのまま出てしまった」と振り返った。

「本当に出来が悪い」

特別国会で高市政権が優先した皇室典範改正や国旗国歌損壊罪などについて本田さんは、「本当に出来が悪い」と切り捨てた。「世論調査をやっても、愛子さまへの敬愛を示す声が非常に多いのに、それを踏みにじって、旧宮家の男系男子を養子縁組して皇族にしようとしている」と批判。福島党首が「宮内庁も、民間人が養子縁組で皇族になった例はないと言っているのに」と付け加えると、本田さんは「誰を養子に取るかも恣意(しい)的になり得るし、黒い思惑で誰かを押し込んでくることになりかねない」と相づちを打った。
福島党首も「党利党略のための、国家主義的な法案ばかり出てくる」とし、「安倍さんもひどかったが、高市さんはもっとひどくて、国会で論争すらしようとしない」と苦言を呈した。
教育への政府の締めつけも対談のテーマとなった。本田さんは、国立大学が運営費交付金を減らされて学費値上げを迫られる一方、「国際卓越研究大学」制度で一部大学にだけ大きな予算がつく構造にも言及。「認定後は『アドバイザリーボード』という法的根拠のよく分からない組織から大学に指示が来て、組織体制の中身にまで『こうしろ』と言われてしまう。国会で起きていることの縮図が、大学の中でも起きている」と語った。

「厳罰主義」が強まる

また本田さんは、文部科学省が辺野古での事故を機に「教育基本法違反」として学校に行なった対応にも触れ、「ただでさえ日本の学校現場では政治的な学習や議論がしにくい状態がつくられているのに、平和学習すら一層やりにくくなる状況がつくられようとしている」と危惧した。学習指導要領の内容過多で教員が疲弊し、不登校やいじめが増えている実態も指摘。「若年層の意識調査からは権威主義的な、国を愛するという意識、ゼロトレランス(不寛容、厳罰主義)が、じわじわ上がっている傾向がある」とし、「そういう洗脳みたいなものが最近の若者の中で結果として出てきているのかもしれない」と分析した。

諦めたら思うツボだ

福島党首が「高市政権は戦争ににじり寄っていますよね。食料自給率38%で、少子高齢化で、どこを見てもボロボロなのに、『継戦能力』なんて話が国会で出てくる」と危機感を表明すると、本田さんは、国会前のペンライトデモに若者や女性が多く参加するなどの全国に広がる抗議を希望として挙げた。兵庫県知事への抗議で「全員喪服でプラカードを持って、無言で立つだけ」という抗議が行なわれたことに触れ、「エンターテインメントの要素も組み込みながら『NO!』と声を上げるということが、今後、多くの人々によって行なわれるかもしれない」と語った。福島党首も「高校生や大学生が地方都市から国会前の集会に駆けつけて登壇する姿もある」と紹介し、本田さんは「本当によく考えてらっしゃるし、現状をよく見てる」と若者のスピーチの質の高さに感心した様子を見せた。
本田さんは読者へのメッセージとして、「諦めたら奴らの思うツボ。どんなにひどい状況でも諦めない。正しいと思うことを掲げて、正しくないと思うことにノーと言う。頑張りましょう」と呼びかけた。

 

■ほんだ・ゆき 徳島県生まれ、香川県育ち。東京大学大学院教育学研究科教授。専攻は教育社会学。教育・仕事・家族という3つの社会領域間の関係に関する実証研究を主として行なう。著書に『教育は何を評価してきたのか』(岩波新書)など。