社会新報

「戦争する国」にはならない! 沖縄・南西諸島から告発する ~ 山城ひろじさんが福島党首と対談

やましろ・ひろじ 1952年、沖縄県うるま市生まれ。法政大学社会学部卒。沖縄県庁入庁、自治労沖縄県本部副委員長、沖縄平和運動センター議長など歴任。現在、同センター顧問。社民党全国連合常任幹事。オスプレイ配備阻止、辺野古・高江新基地建設反対運動をリードする。

山城さんと党首がしっかり握手。

 

(社会新報5月8日号より)

 

 社民党の福島みずほ党首はこのほど、今夏の参院選の比例代表で社民党公認として出馬を予定する山城ひろじさん(72)と対談した。立候補の熱い思いや、自公政権下で「戦争する国家」へ法整備が急速に進むことに対する危機感などを語り合った(対談の詳報は月刊社会民主6月号に掲載予定)。
 沖縄平和運動センター元議長で現顧問の山城ひろじさんは3月26日、次期参院選の比例代表で社民党公認候補として出馬することを表明した。
 山城さんとの対談で福島党首は「高江、辺野古でもう何十年と平和運動をけん引してきた山城さんを、私はとても尊敬している」「その山城さんが立候補を決意してくれたことは、ものすごくうれしい」と喜んだ。
 福島党首から出馬にあたっての決意を聞かれた山城さんは「中央の政党で護憲、反戦平和、人々の暮らしが大事という政党が消えては困る。社民党がなくなってしまっては沖縄も立ちいかない」と語った。
 山城さんは続けて切実な思いを語った。
 「政府が戦争にかじを切る動きのスピードが本当に強まっている。沖縄などの南西諸島では人々は大変恐怖を感じている。沖縄を、南西諸島を、西日本全域を戦場にさせない、させたくない、そういう思いで選挙に出る。外交努力を尽くし、対話によってこそ平和を守れる。そのことを選挙で全国に訴えたい」

ベトナム反戦が原点

 山城さんは自らの活動の原点を明かした。
 「中学生のころ、沖縄の基地に米軍のB52がずらっと並び、沖縄からベトナム空爆に向かう光景を目の当たりにした。とても胸を痛めた。当時、先生たちも活発で『おい、山城、お前も行くか』と反戦デモに一緒に行った。沖縄が戦争に利用される。米国は『沖縄が戦場の要』だと平気で豪語する。それは違うだろう、沖縄は私たちの島だ。私たちは二度と戦争をしない。怒りや悲しみ、苦しみのような思いを重ねて社会人になって、労働組合に入り、平和運動を闘ってきた」
 福島党首は、「私は2010年、辺野古新基地建設を決定する(鳩山由紀夫内閣の)閣議決定に署名を拒否して大臣を罷免された。罷免の前後に電話で話したのが山城さんだった。平和を望み、辺野古新基地建設はいらない、戦争反対という沖縄の山城さんたちは、私の心の支えになっている。手をしっかりとつないで頑張りたい」と沖縄との連帯を重ねて表明。

勝つまでは諦めない

 また、福島党首が「『勝つというのは相手よりも1日長く闘うこと』という運動論に励まされる」と述べると、山城さんも「2005年から始まった辺野古新基地の海上案の第1次案の際、カヌーチームが海に建てられた杭(くい)によじ登って業者が来るのを止めた。それを続けて、第1次案を撤回させた。その時に出た言葉が『勝つまでは諦めない』だった」と振り返った。
 日本政府は有無を言わさぬ姿勢で辺野古新基地建設を強行している。「県知事は必死で『やめろ』『待ってくれ』と言い続け、県民も声を上げ続けるが、問答無用という感じだ。私たちは諦めない。毎日、ゲート前で抗議のスタンディングを続けている」と山城さん。
 福島党首が「佐賀はオスプレイの基地、大分は市街地に弾薬庫、南西諸島の住民12万人は有事の際は船や飛行機で避難するとされている。九州や南西諸島の激変をどう見ているか」と問うと、山城さんは「米軍の元司令官が指摘した『習近平主席が3期目の任期満了を迎える2027年までに、中国が台湾に侵攻する可能性がある』との言説がひとり歩きしている」と懸念を表明。「『台湾有事は日本有事』となり、岸田さんは中国を名指しして『先制攻撃も辞さない』とまで言ってしまう。やはり米国が背後にいる。戦争では何も解決しないと、米国に主張すべきだ」と訴えた。
 福島党首も「安保3文書の具体化として、重要土地規制法、経済安保法、そして今国会では能動的サイバー防御法案、刑事デジタル法などが提出されている。基地を造るぞ、弾薬庫を造るぞというだけではなく、市民生活を監視したり、協力させるということが進んでいる。日本国民を監視しながら、その情報は米国と共有する。そういう市民監視とも闘っていかないといけない」として、「戦争する国」への変化に抗(あらが)うべきと力説した。

生活に戦争入り込む

 山城さんも「『特定利用道路』の指定は問題」と指摘した。「那覇の駐屯地から空港への国道、県道まで、全てを指定し、有事の際は自衛隊専用道路にする。住民の生活を根本から規制してしまう。今は港・空港・道路の使用の話は点と線の話。これが面になるだろう。沖縄本島の人口が集中する所を全て自衛隊が管理することにもなる。第2次世界大戦当時、実際にそうなった。自衛隊が道路を使うという時点で、住民の暮らしの中にも戦争が入ってくる。道路だけではなく、地域全体を使うと言い出すだろう。戦争がリアルに迫ってきている」と危惧。
 福島党首も「頑張らないといけない。この戦争への流れを止めないと。『ミサイルよりコメを!』であり、『軍事より、もっと給料や福祉、安心を』と訴えて、南西諸島の軍事要塞化は、実は日本全体の問題であることを伝えていきたい。国会議員を必ず増やし、山城さんと一緒に国会で頑張りたい」と訴え、山城さんと固い握手を交わした。