消費税減税を柱とした税制改正大綱が9月15日、閣議決定された。
政府は、「所得に応じたきめ細かな給付」を行なう新制度として「就業者負担軽減支援金」を導入すること、同制度を2029年に本格導入するまでの「つなぎ」として、2年間に限った飲食料品に係る消費税率の1%への引き下げを実施する方針である。
消費税の時限的な減税については、社会保障国民会議において、①仕入税額控除が受けられない農業従事者や外食産業に悪影響が生じること②高所得者ほど減税の恩恵が大きいこと③減税分ほど税込価格は下がらない可能性があることーーなど多くの課題が指摘されたが、首相の意思で実施されることになった。
「本丸」である新たな給付制度は、一定の範囲内の勤労所得を有する者に対し、所得に応じた額の給付金を支給するというものである。この制度の最大の問題は、制度の本格導入に伴って飲食料品に関わる消費税率が8%に復元されるにもかかわらず、給付の対象が勤労者に限定されるため、年金生活者や働くことができない人たちは、ただ税率復元による物価高に苦しめられるだけになってしまうことだ。給付から排除される人への対応について、税制改正大綱は具体策を示しておらず、特段の対応がなされるかさえ明らかでない。消費減税も新たな給付制度も、相応の規模の安定財源が必要だが、大綱は財源の検討を予算編成プロセスに丸投げするような書きぶり。
政権が概算要求におけるシーリングを撤廃したことで、要求総額は過去最大の143兆円超まで膨らんだ。特に、防衛省の要求額は過去最大の8兆8908億円となり、政府が年内に行なう「安保3文書」の改定に関わる部分は事項要求とされるため、予算編成時点ではさらに膨れ上がると見られる。「もはや財政規律などない」と言うべき惨状の中で、財源のめどがない減税や給付金を導入しても市場の信任は得られない。その結果、円安や金利の上昇が起きれば、人々の暮らしを圧迫し、消費減税の効果を打ち消してしまう。
減税や給付を行なうのであれば、所得税・法人税の見直しにより安定的な財源を確保することで、税による再分配機能の強化と財政規律の回復を図るべきである。社民党は、10月から始まる臨時国会において、公平な税制の実現のため、厳しく審議に臨んでいく。