声明・談話

【談話】対米隷属の日米首脳会談

2025年2月12日

社会民主党

幹事長 服部 良一

 

  1.  2月7日(日本時間8日)、ワシントンのホワイトハウスにて、日本の石破首相とアメリカのトランプ大統領による日米首脳会談が行われた。石破首相は、かねては政策ごとに是々非々で臨むことを重視しており、日米地位協定の見直しも掲げていた。しかしながら、会談内容や共同声明からは独自性を出したものはなく、「日米関係の新たな黄金時代を追求」などと、いかにトランプ大統領の機嫌を取るかに注力し、とりわけ軍事や経済において「対米隷属」が際立つ結果となった。
  2.  日米首脳会談の共同声明では、「27年度以降も抜本的に防衛力を強化する」と表明した。2022年末の「安保3文書」改悪に伴う軍事費を27年度までの5年間でGDP比2%とする軍拡路線によって、軍事予算が国家予算を圧迫するどころか私たちに軍拡増税という負担を迫っている。くらしよりも軍事を優先する軍拡路線を27年度以降も継続しようとする声明は断固許されない。また、共同記者会見ではトランプ大統領が日本へ今週にも10億ドル(約1510億円)の米国の武器を押し付けることを発表した。

     また、共同声明では南西諸島での両国の存在感向上や拡大抑止のさらなる強化、そして名護市辺野古新基地建設の着実な実施を重視した。米国の主に中国に対する圧力強化のために、南西諸島や沖縄を戦場にすることは断固として許されない。

     経済面では、石破首相は対米投資額を1兆ドル(約151兆円)へ引き上げると表明した。投資は米国に媚びを売るものではなく、日本国内の経済を強化し雇用を拡大することがまず優先されるべきである。

     さらに、共同声明では米国産のLNG(液化天然ガス)の輸入拡大を表明した。エネルギー価格の高騰下で、脱炭素を進め日本国内でのエネルギー自給率をアップしなければならないのではないのか。

  3.  トランプ大統領が就任後に連発している数々の暴挙に対して石破首相から一切の発言が無いことは論外である。たとえば、「パリ協定」からの離脱表明やWHO(世界保健機関)からの脱退表明は国際社会としての責任ある行動を放棄することだ。

     そして、極めつけはガザをアメリカが所有するという発言である。パレスチナ人をガザから追放しようとするこの発言は強い憤りを隠せない。発言後の予算委員会にて、岩屋外相はパレスチナとイスラエルの2国家解決を一貫して支持すると答弁した。しかしながら、これらトランプ大統領の暴挙に対する石破首相の発言は無く、2国家解決に関する日本の立場表明もしなかった。石破首相の外交姿勢には絶望するばかりだ。

  4.  以上のように、今回の日米首脳会談は日本の「対米隷属」がさらに浮彫になった。石破首相はトランプ大統領へ媚を売りに行っただけと言われても仕方がない。

     日本がめざすべき外交は、軍事同盟基軸の日米安保体制から対等・平等な友好協力関係への転換である。大前提として「日米地位協定」の改定であり、不毛な米中の緊張関係から距離を置くことだ。社民党は、中国や韓国など北東アジアとの外交による平和構築に向けて奮闘していく。

以上