声明・談話

【談話】2025年度修正予算案衆議院通過にあたって

2025年3月6日

社会民主党

幹事長 服部 良一

 

  1.  3月4日、25年度修正予算案が衆議院本会議で与党自公に加えて日本維新の会を含む賛成多数により通過した。70年ぶりの当初予算案から減額修正となった一般会計の総額は、過去最大の115兆1979億円である。予算案の4分の1は新規国債発行、金利の上昇で国債の利払いが前年比8.6%増の約10.4兆円となる。防衛費の大幅増額で軍拡路線をさらに進める一方で、過去最大の社会保障費と言いつつ、高額療養費制度の上限額引き上げや医療、介護など社会保障のさらなる負担増の動きがあり、社民党はくらしよりも軍拡を優先する本修正予算案に対して断固反対である。
  2.  石破政権は少数与党の中で野党の賛成を引き出す必要があったが、日本維新の会は「高校授業料無償化」などの一定の成果があったとして初めて賛成に回り、一方国民民主党は「103万の壁」をかかげて三党協議をしたが課税最低額を年収制限の上160万円とする修正案を不十分として決裂、予算には反対した。高校授業料無償化には追加で1064億円、課税最低額の引き上げに伴う所得税減収は6210億円となる。ワンイシューの譲歩で本予算にゴーサインを出すやり方は、とても野党とは言えない。政権交代を実現して本予算全体に責任を持つ姿勢が野党のあるべき態度だ。

     立憲民主党は予算・基金の見直しで3.8兆円の財源をつくり、学校給食無償化などの政策実現を提言したが、本格的に軍事費増やエネルギー政策など国の基本方針に関わる予算修正について回避をしたことは残念である。

  3.  本修正予算案について、最大の特徴は前年度から7千億円以上増の8兆7005億円の軍事予算案である。22年12月、岸田前政権は5年間で防衛費を43兆円とする「安保三文書」改定を閣議決定した。この大軍拡路線により、防衛費は23年度予算から大幅増額している。その内容は、ミサイルや戦闘機など武器の爆買いや、全国のミサイル基地や弾薬庫などの建設、辺野古や馬毛島の基地建設などである。

    25年度防衛予算案の内、およそ5割弱を占めるのが「後年度負担」である。これは過去に契約した武器のローンの返済であり、今年度新たに6兆8953億円もの後年度負担を計上した。武器ローンの総額は15兆6628億円となり、借金返済が今後の予算編成に大きな禍根を残すのは明らかだ。

     また、予算案と共に軍拡増税関連法案も通過した。ただでさえ、物価高などで生活が圧迫されている状況下で、私たちの負担を増やしてまで軍拡を強行する石破政権への憤りを隠せない。さらに、先日の石破首相とトランプ大統領との日米首脳会談の共同声明にて、「27年度以降も抜本的に防衛力を強化する」と表明した。また米高官からは日本に「GDP比3%」の要求も聞こえてくる。現状でも国家予算をひっ迫させている軍拡路線を継続させることは断じて許されない。一方でトランプ政権は米国の軍事予算の年8%削減を発表している。軍事費を同盟国に負担させる意図は明らかだ。

  4.   過去最大となった社会保障関連予算案の削減対策として政府は、今年8月から「高額療養費制度」の上限額の引き上げを強行してきた。「高額療養費制度」はがん患者らのセーフティーネットであり、上限額が引きあがることで治療を諦めることになれば、患者が死を選ぶことになりかねない。政府・厚労省は引き上げによる受診抑制によって医療費2270億円削減を見込んでいる(総額では5330億円)。患者が治療を諦めることを前提としているのかと疑わざるをえない。当事者らによる必死の抗議で来年度以降の上限引き上げは一時凍結となったが、今年8月の引き上げは強行するとのことだ。「高額療養費制度」の上限額引き上げを断じて撤回するべきだ。

     また、昨年度の介護報酬改定によって訪問介護の基本報酬は引き下げられ、小規模訪問介護事業所の倒産が相次いでいる。さらに、平均賃金に達しない介護従事者らは物価高に疲弊している。しかしながら、予算案では介護分野の抜本的な底上げができていない。

     過去最大の規模であろうとも、医療や介護などの社会保障が機能していない予算案である。

  5.  参議院での予算案審議がスタートした。参議院は与党で議席の過半数を占める。年度末までに予算が成立するには参議院での審議の日程はタイトな状況だ。とはいえ、「高額療養費制度」の改悪撤回など積み残している問題はしっかり解消していかなければならない。

     また予算案の動向とともに3月末までに結論を得るとした「企業団体献金の禁止」の問題は大きな焦点だ。「禁止より公開」とする自民党に対して全面禁止を実現できるか山場を迎える。同時に安倍派元裏金幹部の参考人招致の実現も問われる。

     「税金はくらしに!」社民党は国会内外で軍拡予算反対、私たちのくらしを最優先する予算の成立を働きかけていく。

以上