【談話】第221回特別国会閉会にあたり
2026年7月27日
社会民主党全国連合幹事長 ラサール石井
2月8日に実施された第51回衆議院議員総選挙を受け、2月18日に召集された第221回特別国会が、7月25日に閉会した。今国会の問題は、①高市政権における国会軽視の姿勢、②問題法案を拙速な審議で次々に成立させたこと、以上の2点に尽きる。
1点目については、通例であれば毎年1月の中~下旬に通常国会が召集され、2月は衆議院で、3月は参議院で、それぞれ1か月程度の時間をかけて新年度予算の審議が行われる。ところが、今年は通常国会冒頭の1月23日に高市首相が衆議院を解散し、1月27日公示、2月8日投票の日程で総選挙が行われた。つまり1か月の政治空白が生じたのであるから、2月18日に通常国会に代わる特別国会を召集したなら、2026年度予算の国会通過・成立は年度明け(4月以降)にずれ込んでも仕方がなかった。
ところが、総選挙で衆議院の4分の3以上の議席を獲得した与党(自民、維新)と高市政権は、2026年度予算の年度内成立に固執し、2025年の通常国会では92時間行われた衆議院での予算審議を、今回はわずか59時間しか行わず、各省庁の所管テーマを議論する予算委員会の分科会も37年ぶりに開かずに、わずか2週間余りで3月13日に参議院に送付してしまった。
さすがに少数与党の参議院では、衆議院のような「数の力」を背景とした強引な国会運営はできず、高市政権は暫定予算の編成を余儀なくされ、参議院での予算可決・成立は年度明けの4月7日となった。国民生活にとって極めて重要な政府予算を、例年の半分程度の審議時間で国会を通そうとした政府・与党の姿勢は、厳しい批判を免れ得ない。
また、特別国会終盤の6月下旬から7月上旬にかけては、衆参両院で全面的に審議がストップするなど国会が空転した。首相陣営による中傷動画作成疑惑をめぐり、高市首相が衆議院予算委員会で、秘書の陳述書提出で答弁に代えたいと発言した国会軽視の姿勢が空転の原因であったが、その後も高市首相は、衆参両院での予算委員会集中審議や党首討論の開催を拒み続け、そうした姿勢が国会正常化を阻害した。
衆議院の4分の3以上の議席を占める「数の横暴」による国会軽視の姿勢が、今国会の序盤から終盤までたびたび繰り返され、しかも政府・与党の側にこれといった反省が見られず、それどころか、予算の年度明け成立や国会空転の責任を野党側に求めるかのような与党側の言動は、まことに遺憾であると言わざるを得ない。
2点目については、皇室典範の改定(旧宮家からの養子による男系の維持と女性・女系天皇の否定)、国家情報会議設置法の制定(スパイ防止法制の一環)、入管法の改定(外国人在留手数料の実に数十倍の引き上げ)、国旗損壊罪(「日の丸」を損壊すると刑事罰)、再審法(刑事訴訟法)の改定(検察による抗告を全面的に禁止せず)、個人情報保護法の改定(本人同意なく病歴や思想・信条などの個人情報をAI開発に利用可能)、防衛省設置法の改定(沖縄の陸自旅団を師団に格上げするなどの軍備増強)、健康保険法の改定(OTC類似薬の一部保険外し等)などが次々に強行された。違憲性をはじめ、極めて大きな問題を含む数多くの法案を、審議時間も不十分に成立させたことは、断じて容認されるものではない。
会期が8日間延長された国会終盤でも、駆け込みのように副首都法(維新主導での大阪副首都や大阪都構想の実現をもくろむ法案)や国民投票法(改憲手続き法)の改定などを強引に進め、十分な審議時間を確保しての「熟議」という姿勢は、最後まで見ることができなかった。
とりわけ副首都法案については、副首都が担うべき機能も含め詳細が全て後に政府が作成する基本方針に丸投げされている等、生煮えと言わざるを得ない内容である上、政令市廃止・特別区設置の住民投票と地方自治体選挙との同時実施の禁止について、最後まで発議者である自民・維新が応じることはなかった。本法案は、本来ならば政府の責任で詳細な検討を行った上で提出されるべき性質であるにもかかわらず議員立法により提出されたものであるが、国のかたちを大きく変えるものであるからこそ、発議者たる与党は超党派の理解を得るため最大限努力すべきであった。しかしながら、来年4月の統一自治体選挙に合わせ、大阪都構想のための3度目の住民投票をしようという維新の党利党略のために審議・採決を強行しようとした与党の姿勢は、甚だしい国会軽視である
皇室典範改定案や副首都法案等の審議が強行される一方、超党派の議員連盟で提出した水俣病被害者救済新法案や空襲被害者救済法案は、審議入りすらせず国会閉幕とともに廃案とされた。人々の苦しみに向き合う法案の審議を、与党の党利党略のために犠牲にする国会運営は、厳しく糾弾されねばならない。
7月18~19日に各メディアが行った世論調査では、高市内閣の支持率が大きく下落しており、中には、不支持率が支持率を上回った調査もあった。女性・女系天皇を容認する国民世論に対し、7月17日に成立した改定皇室典範は、男系維持を目的に旧宮家の男系男子を皇族の養子をすることを認めるなど、世論との大きなかい離があったことや、物価高対策など生活課題を後回しにして、皇室典範や国旗損壊罪(同じく17日に可決・成立)を急ぐ政権の姿勢への、率直で素朴な疑問が世論調査の結果に現われたのだろう。国民生活の課題を脇に置き、保守的・復古的イデオロギーを優先する高市政権の存続を、これ以上、許してはならない。
今国会の会期中、毎日のように国会周辺では高市政権に抗議するデモや集会が開催されて、しかも、日を追うごとに参加者が増えるとともに、以前にも増して若者の姿が目立つようになった。社民党からも、党首・福島みずほ(参議院議員)や幹事長・ラサール石井(同)が時間の許す限り参加し、集まった方たちとの連帯を訴えた。そして、全国各地でも国会デモに連帯する集会やスタンディングが数多く行われている。
高市政治に対する市民の怒りは、ますます高まっている。社民党は、高市政権に抗議する人々との連携・協力をより強固にするとともに、政治を国民の手に取り戻すべく、国会の内外で全力を尽くしていく決意である。