2025年5月14日
社会民主党
幹事長 服部 良一
- 昨日、衆議院本会議にて「日本学術会議法人化法案」が自民党、公明党、日本維新の会などの賛成多数で通過した。本法案は、日本学術会議を特殊法人化し政府から切り離すものの、政府介入が強まり、大学の軍事研究が加速する悪法であり社民党は断固反対する。
- 本法案は、現行の内閣総理大臣所轄の下「特別の機関」と位置付けられている日本学術会議を特殊法人化して政府から独立させる。首相による学術会議の会員任命を廃止するが、新たに学術会議内に配置される学術会議の業務を監査する「監事」と、内閣府に新たに設置される「日本学術会議評価委員会」の委員は首相が会員以外から任命することとなる。これにより、政府による学術会議への介入を強化してしまう。政府は「監事や評価委員会は学術的内容を判断しない」としているが全く信用できない。
- そもそも学術会議の法人化の発端は、2020年に菅義偉内閣で起きた会員6名の任命拒否問題である。この問題以降、自民党などが学術会議のあり方を見直すこととなり、法人化によって独立性が明確化すると政府は強調する。しかしながら、学術会議の独立性に問題を生じさせたのは任命拒否した政府である。さらには、政府は任命拒否の理由を今なお説明しようとしない。任命拒否問題が解明されないまま、一方的に政府介入が強まる法人化を政府が強行することは断固許されない。
- 現行の日本学術会議法から「科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献」との前文の文言が今回削除された。日本学術会議は戦前の科学者が戦争協力したことによる反省に基づいて成り立ったものであり、学術会議は1950年と1967年には戦争及び軍事目的のために科学研究をしない声明を発出している。2017年には先の声明を継承する声明を発出し、大学に対して強まっている軍事研究の圧力へ抵抗している。だからこそ、政府及び自民党は現行の日本学術会議を骨抜きにして、大学における軍事研究を強化するために法人化を強行しようとしている。社民党は、「学問の自由」を侵害し日本学術会議を無きものとする本法案に対して断固反対し、学者、研究者そして市民らと共に、参議院にて廃案にするために力を尽くしていく。
以上