声明・談話

【談話】第217回通常国会閉会にあたり

社会民主党
幹事長 服部良一

  • 6月22日第217回通常国会が閉幕した。国会最終番、ガソリン減税法案を巡って21日「土曜国会」までもつれ込む展開となった。ガソリン暫定税率の廃止を求め野党7党で提出した議員立法は、審議を拒否した衆院財務金融委員長を野党が解任(戦後初)、新しい阿久津委員長(立憲民主党)の下で20日に審議入りし、委員会での採決、衆院本会議での採決で衆議院を通過した。参院では20日夕本会議で審議入り、21日委員会質疑に入ったものの与党多数の中で委員会、本会議とも採決を見送り廃案となった。自公は国民民主党との間でガソリン暫定税率廃止を一旦合意した経過があるのに、野党案には賛成できないという姿勢は国民生活より党利党略優先と言えよう。物価高対策についても野党の消費税減税案に対して、石破首相は減税も給付もしないと言明する一方、その後参院選の公約に一人2万円の給付金支給を決め政策のぶれが目立っている。
  • 昨年の衆院選で少数与党の石破政権がスタートした。一方で野党は政権交代のチャンスであったにも関わらず、むしろ各党が参院選前の党勢拡大にこだわりワンイシューの政策を与党に飲ませる「手柄合戦」の予算審議となった。「103万円の壁とガソリン暫定税率の廃止」を訴え与党との協議をした国民民主党、一方高校無償化を求めて与党協議を進めた日本維新の会との綱引きとなり、結果は財源負担の軽い維新との合意を自公政権が演出し、三党が賛成する中での予算成立となった。

 

法案審議―決断しない石破政権

衆議院の与野党逆転・少数与党の中で様々な重要法案を成立させる絶好の機会と期待が膨らんだが、自民党の頑強な抵抗と一部野党の合意が成立しなかったことは極めて残念であった。①企業団体献金の禁止 ②選択的夫婦別姓の法制化 ③再審法改正 ④同性婚の法制化 ⑤民間戦争犠牲者への給付金 などだ。こうした法案を野党が協力して確実に実現しておけば、より政権交代への期待が高まったであろう。あらためて参院選の争点にしながら、諦めずに年内の立法化を実現していく。

 なお、この国会でも「戦争する国」に向けた様々な悪法の立法化が進んだ。

①能動的サイバー防御法案はサイバー版敵基地攻撃を可能とし、憲法に保障された通信の自由に違反する法案であり反対した。

立憲民主党など一部野党も修正協議の上賛成だったのは残念だ。

②学術会議法人化法案は、学術分野における軍事研究に道を開き、国による思想統制強化を可能とするもので反対。自公維の賛成で成立。

 今年は5年に一度の年金制度改革の年だ。重要法案に位置づけされた年金制度改革法案は基礎年金の財源や制度設計をめぐり与党の意見がまとまらず、法案提出が非常に遅くなり与党の本気度が全く見られなかった。法案は基礎年金には触れず「106万円の壁」を撤廃し社会保険加入の範囲を段階的に広げただけ。立憲民主党との修正であらためて4年後の財政検証で基礎年金の在り方を議論するという次善の策が盛り込まれたが、就職氷河期の老後の対策という重要な課題を先送りした中身のないものになった。

社民党は基礎年金の実態が生活保護費より低く老後の生存権を保障する機能を果たせていない実情で、国の制度として最低保障年金制度を創ることを提案し、参院選の争点の一つとして訴えて行く。

立憲民主党は国会終盤での内閣不信任案決議の提出を見送った。何もしない出来ない石破政権を信任する理由は全くない。そもそも平和やエネルギー政策など国の基本政策で与党との違いがない野党が多く政権構想が描けていない。しかし今自公政権を終わらせることは極めて重要だ。きたる参院選は事実上政権選択選挙となる。参院で自公を過半数割れに追い込み、その上で何をする政権かを明確にして政治を変えていく必要がある。社民党は何としても参院選に勝利し日本の政治の中でしっかりした役割を果たしていきたい。今年は日本社会党結成80年、来年は社民党結成30年を迎えるだけに先輩達をはじめ有権者の期待を裏切らないよう奮闘することを誓う。