声明・談話

【談話】岸田首相の原発稼働方針に反対する

2022年7月15日

社民党幹事長 服部良一

 

  1.  岸田文雄首相は7月14日に首相官邸で記者会見し、今冬に最大で9基の原発を稼働させる方針を表明した。また、火力発電による電力供給能力の引き上げを萩生田光一経済産業相に指示したことも明らかにした。
  2. これまでに再稼働を申請している原発は25基あり、10基が原子力規制委員会の安全審査を通過している。このうち特定重大事故等対処施設設置工事が予定されている玄海4号機以外の9基すべてを運転させるという強引な計画である。
  3. 現在、稼働済みの原発10基のうち6基が停止しているが、これには定期点検や特定重大事故等対処施設が未設置であるなどの具体的な理由がある。首相は「国が前面に立」つとしているが、政治の判断で原子力規制委員会の審査を急がせ、安全性を犠牲にすることは絶対に許されない。
  4. 奇しくも前日13日には、東京電力福島第一原発事故をめぐる株主代表訴訟で、東京地裁が旧経営陣4人の責任を認め13兆円余りの支払を命じる判決を下したばかりだ。このことからも明らかなように、原発はひとたび事故が起これば莫大な被害をもたらす。福島第一原発事故を経験した日本が、再び原発依存の道に戻ることがあってはならない。
  5. 電力供給能力を引き上げるために火力発電の稼働に依存することも、脱炭素の政府方針と矛盾するものであり、問題がある。
  6. 電力需給の逼迫や電力料金の高騰に対しては、原発や火力発電で対処するのではなく、節電と省エネルギーの推進、自然エネルギーの活用によって対策するべきだ。社民党は、電力供給のために市民の命を危険にさらすことになりかねない岸田首相の原発稼働方針に、強く反対するものである。

以上