健保法等改正案の衆議院通過にあたって

1997年5月8日

社会民主党政策審義会長 及川一夫


1.与党「医療保険制度に関する合意」について

 与党医療保険制度改革協議会は5月6日、「医療保険制度に関する合意案」をまとめ、健康保険法等改正案の修正を行うことで合意した。

 これは、与党医療保険制度改革協議会に民主党を加えた4党で法案の修正の協議を行ったものであり、民主党が政府原案にも修正案にも反対を表明したことは、ともに協議してきた経緯から見て、極めて遺憾といわざるを得ない。

2.法施行善に抜本改革を優先

[1]「抜本改革なくして負担増なし」とのわが党の主張によって、本年9月l日の法施行までの問に「医療改革プログラム」が取りまとめられ、政府はその成案を尊重することが与党間で合意された。わが党は、万難を排して「プログラム」をまとめ、政府に対し閣議決定を行うことを求めていく。可能なものについては、参議院の審議の段階で政府・与党の責任として国民に明らかにしていきたい。

[2] 政管健保の保険料引き上げについては、わが党の主張通り、政府案の8.6パーセントが8.5パーセントとなり、政管健保における保険料負担は720億円(平成9年満年度ベース)軽滅された。

3.参院でさらなる改革を目指す

 党は、患者負担のさらなる軽減に向け、参議院での再修正を目指す。「医療改革プログラム」では、患者本位の医療を確立するため、医療における情報公開や説明責任の徹底、保険者機能の強化、5,300億円(政府答弁)にも上るといわれている保険給付における薬剤費の不明朗な 実態の解消等を図る。

 党として、参議院でとくに修正を要するのは、以下の点であると考える。

[1] わかりにくい薬剤費別途負担

 今回の改正で、国民に最もわかりにくいとされている外来時の薬剤費別途負担について、党は患者負担によって薬剤費を抑制しようとすることは患者に対する責任転嫁であり、薬剤の高価格シフトや多剤投与、長期投与に対する抑制効果も期待できないとして、その部分の改正事項を切り落とすことを合意の最終段階まで強く主張した。

 しかし、自民、さきがけ、民主3党の強い意見によって、種類別の定額方式をわが党も受け入れた。ところが、いったん合意した民主党が反対に回った以上、わが党にとっては、賛成の前是条件が崩れたといわざるを得ない。参議院では改めて党の主張が認められるよう、最大限努力したい。


[2] お年寄りの入院費はさらに軽減すべき

 お年寄りの入院負担について、党は激変緩和のためにl日800円とすべきと主張してきたが調整はつかず、平成9年度は1日あたり1,000円の負担となった。お年寄りの負担が過なものとならぬよう、さらなる軽減に努力する。

4.抜本改革の必要性

 合意案は政府案に比ベ、2,400億円(平成9年満年度ベース)の国民負担(保険料および一部負担)の軽減がなざれたとはいえ、徹底した医療行政の改革の姿を国民に示すことができない段階で本案が衆議院で可決されたことは残念である。

 なお、わが党の考える抜本改革は

[1] 診療報酬制度における定額払いの才広大

[2] 薬の価格は市場取引の実勢に委ねるという原則に立ち、公定価格制度を廃止することで薬価差益をなくすこと。具体的には公開競争入札で価格を形成し、保険者が共同で保険薬を購入する公設市場方式の導入、

[3] 高齢者に関する医療保険制度のあり方、を中心とする。