ロシア船籍タンカー「ナホトカ」号の 沈没事故に関する政府への申し入れ


申し入れ

 ロシア船籍タンカー「ナトホカ」号の沈没事故による重油汚染を調査するため、 社会民主党は一月九目、国会議員調査団(団長・谷本たかし参院議員=党農漁民局 長、副団長・大渕絹子参院議員日見女性局長ほか七人)を現地福井県に派遣した。 調査団は、栗田県知事ら現地自治体関係者から事情説明を受けた後、三国町など汚 染現場を視察した。現地調査の結果、現地の人たちの生活と自然環境に及ぼす影響 に極めて深刻なものがあることが判明した。

 このうえに立って、党は以下の諸点につき、政府に対し申し入れを行うととも に、その実現を強く要請する。

1.重油汚染の拡大防止に万全を期すること

 現在進行中の重油汚染は、日を追う毎に、拡大の一途にある。沈没したタンカー に残留している重油の流出防止などに万全を期されたい。

2.被害の拡大防止対策に努めること

 いま、最も懸念されることは、重油除去のために大量の中和剤を散布し、それに よる今後の長期的な魚介類をはじめとする自然環境破壊の進行である。中和剤の使 用に当たっては、現地漁業協同組合など関係団体の了解を得るとともに、安易な使 用は慎むべきである。

3.支援体制の強化・充実をはかること

 調査の結果、安全な除去方法は人海戦術に頼らざるをえないことが判明した。自 衛隊の出動をはじめ民間ボランティアの協力など、支援体制の強化・充実をはかる べきである。

4.被害補償の確保をはかること

 いま、被害は福井県のみならず石川、鳥取、京都、兵庫、富山の各府県に拡大し つつあるこの場合の被害補償が全て確保できるよう、民間任せにせず万全の措置を 講ずるべきである。

5.事故原因の徹底的な究明をはかること

 当該タンカーは建造後二十六年も経過しており、耐用年数をはるかに超えてい る。外国船といえども安全基準は徹底するよう国際的ルールを確立すべきである。

6.正しいPRと広報活動の充実を行うこと

 現地では、カニ料理など観光事業も打撃を受けつつある。これには、誤った理解 や誤解に基づくものが多いので、正しいPRと広報が行われるよう政府においても十 分な配慮と対策を行うこと。

7.天然記念物「あられがこ」の保全をはかること

 九頭竜川河口周辺にしか生息しないといわれている天然記念物「あられがご」 が、今回の重油汚染で絶滅の危機にさらされている。その保全のため、全力を尽く すべきである。

右、申し入れる。

1997年1月10日

内閣総理大臣

橋本龍太郎 様

社 会 民 主 党

 党首 土井たか子