内閣総理大臣

橋本龍太郎様

1998年5月28日

社会民主党は、今日パキスタンが世界の世論に反して強行した核実験に対して強い抗議を行った。唯一の被爆国であり、未だに多くの被爆者がアメリカによる原爆攻撃から立ち直れずにいる日本社会として、看過できない蛮行である。

同時に、この様な結果をもたらした一因が日本政府にあることも指摘しない訳にはいかない。唯一の被爆国であるとのメッセージを世界に発するのであれば、日本政府は、当然その立場からアメリカを初めとする核保有国に対して、堅忍不抜の精神で核廃棄をすべきであるとの要求をし続けるべきであったし、国連を初めとする国際舞台での最優先課題として、核実験の禁止と核廃絶を掲げるべきであった。

残念ながら日本政府のこれまでの対応は、アメリカ追随・付度外交であった。世界の諸国中で、道義的立場から発言できる政府が最早なくなってしまった現在、日本政府が唯一残された可能性であるという現実を私たちは重く噛みしめている。被爆地広島の国会議員としても、核廃絶を党是として掲げてきた社民党としても、改めて日本政府の責任を問う。同時に、本来日本政府が取るべきであった、道義的な立場から世界に説得力を持つ外交政策を出来るだけ早く採択することを強く要求する。

社会民主党政策審議会長

秋葉忠利