1998年7月8日

社会民主党

土井たか子

「福祉ヒューマンパワーの養成で雇用・景気に安心」

 福祉への投資こそが、雇用を確保し、景気を回復させます。

 今日の社会不安は、老後や子育てに対する社会的支援や地域の連帯が期待できそうにないこと、経済的な負担が重くのしかかっていくことなどから生じています。これが不景気の根本的な原因です。

 社会保障の充実という社会民主主義の原点こそが、現下の経済情勢に対する最大の解決策です。

1 「分権・参加・生活」でしなやかな福祉社会を実現します

 高齢社会は、暗くて重苦しい社会ではありません。社民党は、分権型で地域住民が主体の、一人ひとりが参加することによって支えあう、生活に密着した福祉を創造して、「活力ある高齢化(Active Aging)を実現します。

2 福祉は投資です

 福祉は経済成長の単純な恩恵でもなければ、ましてや経済成長の足を引っ張るものでもありません。福祉への投資こそが雇用創出をはじめとした裾野の広い経済波及効果をもたらし、老後や子育てなどの不安を一掃しうるのです。

 福祉型の新たな経済産業構造への大転換と併せ、国の予算を福祉や公的年金など社会保障関係に重点化することが重要です。

 公的年金などの所得保障は、安定的な購買力を確保します。高齢者介護、育児、障害者ケアなど社会サービスの充実は、福祉機器や介護サービス事業をはじめとした新規産業を育成するとともに、福祉ヒューマンパワーの新たな雇用を産み出します。

 社民党は、福祉ヒューマンパワーを積極的に養成し、市民のNPOなどとも連携して、社会保障を大胆に充実することで、健全で活力ある高齢社会を創造します。

3 福祉ヒューマンパワーの身分保障と雇用機会確保を行います

 喫緊の課題は、福祉ヒューマンパワーの身分保障を確立し、雇用機会を確保することにより、ホームヘルパーや保育士などを大幅に拡充することです。

 社民党は、働く方々の多様な就業形態に対応した身分保障を確立し、必要十分な所得保障を含む待遇改善を早急に進めます。

 さらに、雇用の機会を拡大することも重要です。社民党は、福祉人材センターなどの拡充、人件費助成や利用者の負担軽減措置、絶対的に不足している福祉関係施設の大幅な新増設などにより、就労の場を創出・確保します。

4 社会民主党は福祉ヒューマンパワーを充実させます

<介護・ヒューマンパワーの確保>

 高齢者・障害者介護の基本であるホームヘルパー(96年度実績延べ11.9万人)をさらに養成し、寝たきり=寝かせきりゼロを実現するため、2010年までに100万人の雇用を創出します。

<子育て・ヒューマンパワーの確保>

 「待機児童ゼロ作戦」を展開します。とりわけ低年齢保育における保育所待機児童を完全解消するため、来年までに保育士5000人の雇用を新たに緊急確保します。

<リハビリ・ヒューマンパワーの確保>

 OT(作業療法士)・PT(理学療法士)・ST(言語療法士)などリハビリ・ヒューマンパワーについて、来年で終了する新ゴールドプランの目標値15000人の雇用を完全に確保します。

<その他ヒューマンパワーなどの確保>

 コメディカル・スタッフ(医療における医師以外の医療関係職員)や福祉施設で働く寮母、介護・看護職員、介護保険制度の成否の鍵をにぎっている介護福祉士、ケアマネージャーなど、医療や介護分野における多様な人材と充分な雇用機会を確保します。

 また、「地方版エンゼルプラン」の策定を地方自治体に義務づけ、地域によって偏りのある、子育て支援に必要な人材等の基盤整備を強力に進めます。

 すべての自治体に数値目標を盛り込んだ障害者計画の策定を義務づけるとともに、PSW(精神科ソーシャルワーカー)などの拡充を進めます。

5 さらなる福祉3大プランを策定します

 社民党は、「スーパー・ゴールドプラン(仮称)」「新・エンゼルプラン(仮称)」「新・障害者プラン(仮称)」の策定を進め、これら福祉ヒューマンパワーを積極的に養成し、および基盤整備を進め、雇用・景気に不安のない、安心できる日本社会を築きます。

                                       以 上