インド首相
 アタル・ビハリ・ヴァジパイ殿

駐日特命全権大使
 シッダールタ・シン殿

社会民主党全国連合
党首 土井たかこ 

インドの核実験に対する抗議・申し入れ


 核拡散を防止すべきであるとの国際世論に反し、また核兵器の保有並びに使用は国際法違反であるとの国際司法裁判所の勧告的意見に抗して貴国が5月11日午後に、地下核実験を強行したことはきわめて遺憾であり、強く抗議するものである。

 第二次世界大戦後の世界的混乱期に、インドが軍事的なあるいは、経済的な力に対するもう一方の存在として道義的な立場から、非同盟運動を推進し、世界の良心を代弁してきたことに多くの日本国民は感謝し、声援を送り、いつの日か日本も同じような役割を果たす国になって欲しいと、密かに願っていた。

 しかし今回の貴国の核実験の強行は、そのインドですら軍事力、なかんずく、核の力に屈してしまったという、深い失望を世界中の人々に与えてしまった。

 今回の貴国の核実験は、核廃絶を目指す努力に悪影響を与え、核実験競争の再来を招きかねない。

 今回の核実験によって、貴国が失った理念や信頼の大きさを自覚し、即刻「核オプション」行使の政策を転換させるよう、強く求めるものである。

 平和を目指す大国として信頼されようとするなら、核兵器をなくすリーダーシップをこそとるべきである。

以上
1998.05.12