労働基準法改正問題に関する記事について

毎日新聞への抗議

1998年3月3日

社会民主党

 

 毎日新聞3月1日づけ朝刊「裁量労働制の適用拡大 社民党が柔軟姿勢に−−背景に連合への反発」の記事は、内容が不正確であり、労働者の権利擁護の立場で労働基準法改正に向けて全力で取り組んでいる社会民主党に対し、国民に、とりわけ労働者や労働組合の活動に携わる人々、また、均等法改正以降、との働き方に大きな変化が生じていることに重大な危惧を抱いている女性労働者に対して、大きな誤解を与えるものである。

 社会民主党は、以下の理由から、この記事を掲載した毎日新聞に対して、断固抗議する。

1.社会民主党の労働基準法問題に対する取り組みは、雇用環境の厳しい下で働く労働者との連帯、労働者の権利擁護を基礎としている。今回の内閣提出の改正案については、与党政策調整会議への提出および閣議決定に際して、「時間外労働の上限基準の規定ぶり」、「家族的責任を有する女性労働者の激変緩和措置」、「裁量労働制の対象業務の拡大防止措置」など、重要な改正論点7項目を修正した上で、法案提出を了承しているが、法案に対する賛否は、「深夜業などの労働時間に関する与党プロジェクトチーム」における論議および審議を通じて決定することととして保留しており、現在でも変化はない。

 

2.与党プロジェクトチームにおける課題については、社会民主党は、2月6日の第1回会合において、「激変緩和措置、深夜業、時間外労働・休日労働の在り方、その他」を提起し、その他の項目としては、「裁量労働制」や「一年単位の変形労働時間制」などを含んでいる。現在は、「深夜業」をテーマに作業が進められている。

 

3.連合との関係については、社会民主党は、これまでも、密接な連携を保ってきたし、今後とも協力関係を密にすることを相互に確認している。毎日新聞の記事は、この点でも、あきらかに事実に反している。 これは、社会民主党と連合その他の労働組合や労働者の権利保障のために活動しているネットワークなどとの協力関係に水をさすだけでなく、破壊するものでさえある。

 

4.社会民主党は、今回の記事で問題になっている「裁量労働制」については、労働時間の概念を曖昧にし、サービス残業を合理化するものとして、拡大には反対してきた。拡大の歯止めのために、労働基準法改正案要綱の原案に、「業務の性質上」の規制と労使委員会の恣意的決定を排し、法的に根拠のある指針を遵守すべき枠組みへと修正してきた経緯はあるが、ホワイトカラー全般への適用拡大を容認したことは決してない。なお、「いたずらな拡大」は認めない。

 

5.社会民主党は、21世紀を目前にして、労働者の大きな雇用不安や権利侵害が横行する現在、より質の高い労働条件基準の確立をめざし、労働者の権利保障を実現するために、連合をはじめ、広範な労働者・労働組合と連帯して、今後とも全力で取り組むことを明確に表明する。