2002年2月27日

政府の総合デフレ対策について(談話)

社会民主党 幹事長
福島瑞穂

  1. 政府は、本日の経済財政諮問会議で「総合デフレ対策」を取りまとめた。国民生活に負担と痛みを強いる小泉流構造改革はデフレを促進するだけであり、これと並行して打ち出される政府の施策が「デフレ対策」に成り得ないことは明白だ。継続的な物価下落と経済規模の縮小を食い止めるためには、国民の雇用、生活、将来不安を和らげ、家計や企業の前向きな消費活動を引き出すことが不可欠である。

  2. 実質ゼロ金利の下で大量の資金供給がありながら、需要拡大や中小企業への貸し渋り解消に結びつかない現状において、金融緩和政策の効果は期待できない。中小企業向け融資の拡大や地域経済の活性化を目的とした日本版「地域再投資法」の導入などこそ検討の対象とすべきである。さらに実体経済の回復とは無縁なインフレ・ターゲティングは、名目的な資産価格の引き上げによるバブル企業の救済を目的とした「本末転倒」の施策と言わざるを得ない。

  3. 不良債権処理に当たっては、中小・零細企業向け債権と大手企業向けの債権を同様の基準で処理すべきではない。また、金融機関への公的資金投入では、前回は「資本注入は健全行に対して」という大義名分の下で銀行の経営責任は不問とされたが、今後、金融危機対応措置として資本注入を行なうとするならば、銀行の経営責任が厳しく問われると同時に、公的資金投入のツケを国民負担でしか処理し得ない政府の責任も厳しく問われなければならない。

  4. 社民党は、デフレの克服には需要創出が不可欠との立場から、冷え込んだ個人消費を回復させるため、まず最悪の雇用情勢に対し、公的部門での雇用創出や「同一価値労働・同一賃金」に基づくワークシェアリングの推進など万全の雇用対策を行なうべきだと考える。併せて、将来不安を解消するためには年金、医療など社会保障制度の抜本的改革案を国民に納得できる形で提示することも必要である。これら対策には、財政出動は不可欠であるが、政府の対策は国債発行30兆円枠にとらわれることによって有効な施策を打ち出せずにいる。あくまでも、この面子にこだわり続けるのであれば、有効なデフレ対策の実現に向け、政府自らが次年度予算案の組み換えを行なうべきことも指摘する。

以上