2002年7月4日

瀋陽総領事館事件をめぐる外務省の処分について(談話)

社会民主党全国連合
幹事長 福島瑞穂

  1. 本日、外務省は中国・瀋陽の日本総領事館に駆け込んだ亡命希望者五人が中国警察に拘束された案件について処分を発表した。事件発生時の現場対応、外務省と総領事館の間の指示・連絡体制、そして事件後の報告の在り方など、いずれの点においても不手際があったことは一目瞭然である。岡崎清・総領事や阿南惟茂・中国大使らの処分に加え、川口順子外相ら本省関係者の指揮・監督責任が厳重に問われるべきことは論を待たない。

  2. 外務省は主要な処分理由として「危機意識が希薄だった」点を挙げたが、事件が起きた背景には、難民条約および難民議定書に加入しながら、実際には難民や亡命希望者の受け入れに極めて消極的で、今回のような事態を想定すらしていなかったと思われる日本政府の難民・亡命政策が根底にある。人権擁護の観点から難民・亡命者の受け入れ政策を早急に見直し・確立することこそ、最も重要な再発防止策であり、ここを抜きにして、いくら「指揮命令系統の明確化」や「警備体制の強化」を掲げてみても、おざなりの対策に終わることは目に見えている。

  3. また、今回の事件では亡命希望者を拘束した中国警察の行為が「領事機関の公館の不可侵」を定めたウィーン条約31条に違反しているか否かが焦点となったが、この点をめぐって日中両国政府の主張は、依然として対立したままである。事件の再発を防ぐためには、同条約の解釈や警備の在り方などについて中国政府と認識を一致させていくことも不可欠である。

以上