2002年12月13日

第155回臨時国会の閉会にあたって(声明)

社会民主党

  1. 本日、57日間にわたった第155回臨時国会が閉会した。今臨時国会は、バブル経済崩壊後の最安値を更新し続ける株価の低迷、依然として史上最悪のペースで高止まりを続ける失業水準など、景気・雇用対策が「待ったなし」の状況で開かれた。にもかかわらず、政府・与党が「総合デフレ対策」を取りまとめたのは国会開会後、約二週間を経過してからのことであり、そればかりか補正予算の編成も次期通常国会に先送りしてしまった。デフレ不況下で不安を募らせる国民から「何のための国会だったのか」と指摘されても、やむを得ないほど国会を軽視し、国民生活を無視した小泉内閣と与党には、猛省を促したい。

  2. その上、政府の「総合デフレ対策」は、企業のリストラを支援し、セーフティネットの整備を欠いたまま不良債権処理を加速化させるなど、デフレ経済をさらに深刻化させかねない内容となった。党は、雇用安定、中小・零細企業の重視など国民経済再建の立場から国会での論戦に臨み、四野党も共同で補正予算編成を要求したが、政府・与党はこれを顧みなかった。国民の不安を和らげ、生活に明るい兆しが見えるように舵を切るためには、まず小泉流の構造改革を転換することが不可欠である。

  3. 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)による拉致事件被害者への支援立法が全会派一致で成立したが、両国間の正常化交渉や安全保障協議は暗礁に乗り上げかけている。拉致事件の解明、核開発問題の解決は、交渉の最重要事項であることは明らかであるが、「日朝平壌宣言」の内容に沿って、両国政府が粘り強く、誠実に話し合う努力を続け、対話によって問題解決が図られることを強く望む。

  4. 政府は、テロ対策特措法に基づく米軍支援継続の根拠、目的を明確に示すことなく海上自衛艦のインド洋派遣再延長を決定した。加えて政府は、米軍と情報を共有することによって集団的自衛権の行使につながるイージス艦派遣を国会承認はおろか、国会報告まで抜きにして決定した。テロ対策特措法の趣旨まで捻じ曲げ、米国のイラク攻撃を間接的に支援することを目的とするかのようなイージス艦派遣は、憲法を骨抜きにし、自衛隊の海外派遣を「なし崩し」的に拡大するものであり、断じて許されない。

  5. 有事法制関連法案は、政府・与党から修正案が提出された。武力攻撃事態の定義を見直したところで、周辺事態法やテロ対策特別措置法との関連のあいまいさは、払拭されないばかりか、米軍支援のための戦争法案という性格は何ら変わるものではない。次期通常国会で、政府が提出予定の「国民保護法制」も、指定公共機関による情報管理や国民統制、保管命令や立ち入り制限違反への罰則導入など、事実上の「国家総動員体制」になりかねない。次期通常国会での廃案を目指す。

  6. 人権擁護法案は継続審議となったが、政府案は独立した人権機関の設置を求める国際基準からほど遠い内容であり、引き続き廃案・再提出を求めていく。個人情報保護関連法案は与党自ら、廃案とせざるを得なかったが、与党は独自の修正で再提出を目指しており、なお多くの問題が残されたままである。メディア規制の排除にとどまらず、自己情報コントロール権の保障、EUやOECDの基準を満たした法制定を、他の野党と共に求めていく。

  7. 政府・与党は、多くの国民・自治体が懸念を抱く住民基本台帳ネットワークシステムの拡大につながりかねない「オンライン化関連法案」の成立を急いだ。党は、今後も国会レベルで住基ネットの廃止・凍結を目指していく。また、政府は東京電力による原子炉の損傷データ改ざん事件を逆手に取るように、原子炉に損傷があっても「安全」と判断されれば、運転の継続を認める「維持基準」を盛り込んだ法改正を行なった。原子力規制行政に最も必要な安全と信頼性の確保に逆行するような政府の姿勢は、言語道断であり、党は脱原発の具体的な取り組みをさらに強化していく。

  8. 人事院勧告による公務員賃金の決定にあたって、党は冬期一時金による一方的な調整ではなく、労使の話し合いで決めるべきだとした修正案を提出して闘った。ILO(国際労働機関)勧告にあるように、労働基本権を制約する現行の公務員制度の欠陥は浮き彫りになっており、党は、政府がILO勧告を尊重するよう院内外の闘いを強化していく。

  9. 自民党の政官業癒着・金権腐敗体質が浮き彫りになった前通常国会に引き続き、臨時国会でも大島理森農水相の前秘書官による「口利き疑惑」、清水達雄参院議員の党費立替問題などが浮上したが、自民党は相変わらず、疑惑隠しの姿勢に終始した。また、道路公団民営化問題の最終報告をめぐり、民営化推進委員会は混乱した。道路公団の「経営破たん」は、これまでの自民党の政策の誤り、行き詰まりの結果であることは明らかであるが、最初に「民営化ありき」の経営形態論議に終始し、しかも委員会に結論を「丸投げ」する小泉首相の手法は、あまりにも無責任だと指摘せざるを得ない。

  10. 野党四党は補正予算の編成要求をはじめ、結束して小泉内閣に対抗するための努力してきた。しかしながら、結果として景気・雇用問題の先送りを許し、多くの問題法案への追及も与党を追い込むまでには至らなかった。野党としても、このような国会になった責任の一端を負わざるを得ない。次期通常国会は、有事・個人情報・人権擁護の各法案に加え、補正及び次年度本予算、企業減税を所得増税で穴埋めする税制改革、「解雇ルール」の法制化、教育基本法改悪など重要法案が目白押しとなる。党は、次期通常国会を日本の将来を左右する分水嶺と位置づけ、他の野党との協力・結束をさらに強固にし、小泉内閣と対決していく。