2002年12月6日
JR不採用問題に関する四党合意からの与党の離脱について
社会民主党JR不採用問題プロジェクト
- 国鉄分割・民営化によってJRに採用されなかった人々や家族は極めて厳しい状況下におかれている。組合員・家族の辛苦に思いを馳せるならば、JR不採用問題は人道的立場から1日も早く解決すべき大きな社会問題となっている。このような認識に立って、自社さ連立政権における政党間協議等の取り組みを経て、2000年5月30日、社会民主党は、政治の場においての解決の枠組みとして、自由民主党、公明党、保守党との間で、「JR不採用問題の打開について」(いわゆる四党合意)を確認した。この四党合意の受け入れをめぐり国鉄労働組合内にも様々な議論があったが、三回の全国大会や全組合員一票投票を経て、2001年1月27日の続開大会において四党合意を武器に政治的解決を図る決意の新執行部が発足した。社民党は、連立政権を解消してからも、国労本部と連携しながら、自民党をはじめとする与党3党との間で、本問題の政治解決に向けて努力をしてきたところである。
- 本日、与党3党から、正式に四党合意からの離脱が通告された。たしかにこの間、鉄建公団訴訟問題をはじめとする国労組織内の問題がネックになる形で、与党側からは「四党合意の前提条件が満たされていない」とされ、協議は足踏み状態に陥っていた。しかし、国労は、与党三党による「JR不採用問題に関する声明」を真摯に受けとめ、5月に開催した第69回臨時全国大会で、「JRに法的責任はないこと」を再確認することなど四党合意の枠組みによる解決を促進するための態度表明を行い、11月の第70回定期大会でも、四党合意に沿って、引き続き解決を図る旨の運動方針を採択したばかりである。社民党も国労に対し働きかけを行い、国労もまた解決に向けての努力を行っている中で、政党間の信義に基づき公党間で交わされた合意文書である四党合意からの一方的な離脱は、これまで誠意を持って与党との協議を行ってきた社民党としても大変遺憾であり、憤りを禁じ得ない。なによりも四党合意に基づく早期解決を願ってきた多くの国労組合員・家族に大きな衝撃と落胆を与え、また多くの国民の期待にも反するものである。
- 二年半にわたる四党協議の過程で、国労としては、与党側からの数々のハードル・条件に対し、ぎりぎりの譲歩を重ねてきたとの思いがあるとともに、四党合意にいう「すみやかな解決のため努力する」との確認を与党がどれだけ実践してきたのかという強い疑念がある。逆に与党には、国労が本当に解決する意思があるのかわからない、四党合意の前提条件の解決にどれだけ執行部が努力しているのかという思いがある。問題は、四党合意に基づく政治的解決に向けて前進を図るため、障害をどのように克服し乗り越えていけるのかということであり、社民党は、この間、諸先輩の尽力もえながら、解決に向けてあらゆる努力を傾注してきた。しかし、この両者の認識の違いの溝を最後まで埋めることができなかったことは、残念きわまりない。
- 昨年の衆参の国土交通委員会では、JR会社法案の審議に当たって、「いわゆるJR不採用問題については、現在、人道的見地から関係者間で努力が続けられているところであるが、政党間協議等の今後の対応を見守りつつ適切に対処すること」との附帯決議が行われている。また、ILOは、「もしこれ以上交渉開始が遅れるならば、『四党合意』がその価値を失いかねないことに同意する」として、政府とすべての関係者に「真剣で内実のある交渉」を求めている。四党協議はたしかに足踏みが続いていたが、長きにわたってきた本問題について、国会やILO、多くのマスコミも含む内外の世論から、人道上からの話し合いによる政治的解決が求められていることに変わりはない。四党合意の枠組みからの与党の離脱によって、JR不採用問題自体がなくなったわけではない。国鉄改革は国策として遂行されたものであり、様々な事情はあるにせよ、不採用になった人たちには国策の犠牲者という側面もある。かりに四党合意から離脱してことたれりというのであるならば、政権政党としての矜持・責任こそが問われることを想起すべきである。
- 不採用問題に長年たずさわってきた経緯を踏まえ、社民党は、今後とも、国労本部と連携して、JR不採用問題について、全力で取り組んでいく決意である。