2002年12月6日

「心神喪失者医療観察法案」の強行採決に抗議する(談話)

社会民主党全国連合
幹事長 福島瑞穂

  1. 本日、衆院法務委員会において、いわゆる「心神喪失者医療観察法案」について、与党は十分な審議を尽くさぬまま採決を強行した。わが党は強く抗議するものである。

  2. いわゆる触法精神障害者問題への対応の前提は、全般的な精神医療の向上、地域ケア体制の整備・充実によって加害者を生み出さない社会をつくることにある。再犯率が非常に低く、一般の犯罪に比べ起訴率も決して低いとはいえない触法精神障害者のみを対象にした本法案は、立法事実そのものに重大な疑義があった。

  3. 政府案では、「再犯のおそれ」を根拠に、裁判官と医師の判断により処遇を決定するものであったが、社民党は「再犯のおそれ」の判断可能性や、「おそれ」により長期拘禁することの違憲性などを、厳しく追及してきた。今国会で提示された与党修正案は、処遇決定に際して医療判断を重視することになったにもかかわらず、裁判官が「法律に関する学識経験」に基づいて意見することになっており、制度の柱ともいうべき合議体の役割自体に矛盾と混乱を生じさせた。当事者の人権を著しく侵害するおそれのある制度を導入するにあたり、このような曖昧さを残したまま、審議未了で採決を行うことは許されず、立法府としての良心を疑うものである。

  4. 本法案が成立すれば、これまで以上に差別や偏見など精神障害者を取り巻く状況は厳しくなることは確実である。社民党は、本法案の廃案に全力を挙げるとともに、精神障害者が安心して生活できる真の「共生社会」形成のために、当事者の方々と連帯しながら取り組みを強めていく。

以上