2002年6月28日

カナナスキスサミットについて(談話)

社会民主党
幹事長 福島瑞穂

  1. サミットの意義や役割が問い直される中、今回のサミットも、ロシアの正式加盟のみが唯一の成果という内容の乏しい結果となった。際立ったのは、景気の低迷によって世界経済の足を引っ張るわが国への厳しい視線と、ブッシュ大統領に擦り寄る小泉首相の姿である。

  2. ブッシュ大統領が、急遽持ち込んだ中東和平に関する新提案については、パレスチナ国家の樹立については評価したものの指導部の交代という無理難題については他の首脳は一様に冷ややかであり、合意に至るべくもなかった。しかし、小泉首相はこの問題についても、他の首脳に先駆けていち早く提案を「評価」し、米国追従に終始した。同時にこれは、わが国がこれまで中東和平実現のために努力してきた中立政策に反し、中東諸国との友好関係を損なうものといわなければならない。また、緊張関係を深める印パ紛争については議論に上ることもなく、サミットの限界を示すものとなった。
    結局、「テロ対策」について大きな成果はなく、一国超大国主義の立場をとる米国と他の国々との溝が埋まることはなかった。

  3. 「世界経済」という議題を掲げながら、サミットと同時に起こった急激な株安、ドル安に対して何ら有効な手立てを講ずることなく、逆に「世界経済は回復基調」と現状とかけ離れた認識を示し、世界と市場の失望を買うこととなった。小泉首相は、色あせた「構造改革」のスローガンを繰り返すばかりで、新味と内容に乏しく、かえって景気回復への無策振りを露呈することとなった。

  4. 今回のサミットは、グローバル化がもたらす矛盾や、続発する地域紛争に対して、大国と言われる国々が一致して取り組むことの困難さを改めて浮き彫りにした。同時に、独自の外交姿勢を示すことなく、米国追随に終始した小泉首相の対応は、我が国の国益を損なうものとして、厳しく批判されなければならない。また、事前に各党の意見を聞くこともなく出かけた小泉首相の政治センスを疑わざるを得ない。