2002年2月5日

武部勤農相の不信任決議案採決について(談話)

社会民主党 幹事長
福島瑞穂

  1. 本日、衆院本会議で野党4党が共同提出した武部勤農相に対する不信任決議案が与党の反対によって否決された。BSE(牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病)問題で、甚大な被害に苦しむ生産者を前に「感染源の解明は大きな問題なのか」などと暴言を繰り返してきた武部農相に、責任者としての能力が欠如していることは明白であるにもかかわらず、農相をかばい続ける与党の姿勢は国民に対する背信行為である。

  2. BSE問題ではWHO(世界保健機構)が96年に肉骨粉の使用禁止勧告を打ち出し、EU(欧州連合)も日本での発疾リスクを再三にわたって指摘していたにもかかわらず、農水省はこれらを否定、無視し続けた。BSE感染の危険性を軽視し、今日の事態を招いた政府、農水省の責任は大である。加えて、感染牛の確認以後も、感染源の特定に及ばないばかりか、欧州各国で行なっている厳格な飼肥料検査の導入にも躊躇する農水省の無責任な対策は、国民の不安を一層助長させている。

  3. 武部農相は、通常国会を目前に控え、WHO勧告を農水省が無視した当時に畜産局長であった熊沢英昭事務次官を退官させた。当事者を国会審議の場から遠ざけ、真相究明にフタをする手法は、外務省のNGO排除問題と同様のものである。そればかりか、NGO排除問題では正当な対応をした田中真紀子外相を更迭したにもかかわらず、罷免に相当する理由がこれだけ明確な農相を守り続ける小泉首相の姿勢は、「改革」の名に到底値するものではなく、従来通りの派閥政治にどっぷりつかったものであることを浮き彫りにした。

  4. 社民党は、BSE感染牛が確認されるたびに調査団を派遣、雪印食品による牛肉偽装事件でも直ちに現地に赴くなど、BSE問題に真剣に取り組んできた。本日、農相に対する不信任決議案が否決されたが、これによって国民の不安はいささかも解消されるものではない。社民党は、野党4党が提出を準備する「緊急措置法案」の早期成立に努力し、感染源の特定を含む万全の対策を政府に迫るとともに、熊沢前事務次官の証人喚問を実現させ、政府、農水省の責任追及に全力を挙げるものである。

以上