2002年7月9日

超深地層研究所の「着工」に強く抗議する(談話)

社会民主党全国連合
幹事長 福島瑞穂

  1. 昨日7月8日、岐阜県東濃地域の瑞浪市で超深地層研究所が着工された。この施設は核燃料サイクル開発機構による高レベル放射性廃棄物地層処分のための研究施設である。高レベル放射性廃棄物の処分技術はいまだ確立できていない。しかし処分地を求め、日本全国5百ヶ所以上の地域が密かに調査されてきた。その中でもっとも地層、地質、地下水などのデータが集積されている場所がこの東濃地域と考えられている。そこへの超深地層研究所の立地は、それだけでこの地域が高レベル放射性廃棄物の最終処分地となることを強く示唆するものである。

  2. 核燃料サイクル開発機構は地元自治体に対し、放射性廃棄物を持ち込まない、処分場にしないなどの約束をしている。しかしそれは、研究所のすぐ隣の土地を処分場にしないという約束ではない。社民党は6月10日この地域を視察し、研究所予定地と東濃地科学センターの間に、約4平方キロメートルの広大な用地が存在していることを確認した。高レベル放射性廃棄物のガラス固化体4万本分の処分場に相当する広さである。具体的な処分技術の最後の詰めは、処分予定地と同じ地質、同じ地層を対象に行われなければならない。地下1千メートルまで掘り下げる超深地層研究所の設置は、この地域での処分技術確立を目指すものと言わざるを得ない。

  3. 今回行われた「着工」はショベルカーが沈殿池の掘削を開始するという形式的なものである。作業は10分で終わり、さらに掘削場所は埋め戻されたことを地元の人々が確認している。作業上では、何の意味もない「着工」であった。これは、ただ単に瑞浪市に4.5億円、周辺自治体に9億円の電源三法交付金を与える名目にすぎない。貴重な政府予算を、このようなやり方でばら撒き、地元住民の声や反論には耳を貸さず、交付金と引き換えに原子力政策を推し進めるやり方に社民党は強く反対する。

  4. 放射性廃物処分政策はまだ十分に国民の中で議論がなされていない。原子力政策の負の遺産、将来世代への「つけ」として生み出してしまったものに対し、政府はもっと誠実かつ慎重な態度で臨むべきである。超深地層研究所の安易な着工に対し、これを白紙の戻し、地元住民との真摯な話し合いを進めるよう核燃料サイクル開発機構に求めるものである。