2002年7月9日

郵政関連4法案の衆議院通過に当たって(談話)

社会民主党全国連合
幹事長 福島瑞穂

  1. 今回の郵政法案を巡る与党内の動きは、まさに大山鳴動してネズミ一匹、国民不在というべきものであった。「改革派対抵抗勢力」を演出した法案の取り扱いは、舞台裏丸見えの茶番劇を見ているかのようであった。与党の事前了承を抜きにした法案提出を、政治のリーダーシップ発揮とみる向きもあったが、与党との密室調整で互いの顔が立つように決着を付ける手法は、前近代的な談合政治にほかならない。加えて、中央公聴会すら開催せずに、与党内決着すなわち即採決という段取りも国会軽視、法案の私物化である。野党を交えた真摯な協議を行なう姿勢など微塵もなかった与党に対し、猛省を促したい。

  2. 社会民主党は、国民から親しまれ、国民共通の財産として生活基盤に密着している郵便事業の民営化は、不採算部門を切り捨て、ユニバーサルサービスを崩壊に導くことから反対してきた。少子高齢社会が急速に進展し、2025年には三人に一人が高齢者となるなか、国民生活のセーフティネットとして、全国24,700箇所の郵便局とそのネットワークを国民生活共有の社会的インフラ、住民への公共サービスの拠点として、積極的に活用していくことこそが大きな課題である。

  3. 郵政公社法案については、事業の公共性維持の観点から賛成することとしたが、公社化のメリットを明らかにし、真に国民から信頼される郵政事業になるよう、特定郵便局長制度の見直しや郵政ファミリーの改革が前提であることを強調したい。また、公社に移行しても、効率・収益、経営最優先に流されることなく、国営公社の事業として郵政三事業を一体で運営するという公的な性格・公共性をしっかり発揮していくことを期待する。離島や過疎地における郵便物の引き受け・配達が切り捨てられることのないよう、郵便局数の現行水準を全国あまねく維持するとともに、福祉施策としての第3種・4種郵便の堅持、必要な財政支援の実施などが図られなければならない。その意味で、法案の修正事項は、郵政事業の公共性維持という課題を最小限満たすものと受け止める。なお、民間企業への出資を認める旨の修正については、いやしくも官僚の天下り先、利権増殖の機会とならないよう、徹底した透明化と情報開示を行なうべきである。

  4. 信書便法案は、通信の秘密を守り、ユニバーサルサービスを維持する観点から種々の規制は必要であるが、ダイレクトメール(DM)やクレジットカードが信書に当たるかなどの詳細を法案に明記せず、省令・ガイドラインに委ねることは典型的な裁量行政だと指摘せざるを得ない。信書の範囲を狭めれば、実質的に無条件全面参入と同じであり、民間によるクリームスキミングつまり「いいとこどり」として、しわ寄せは過疎地域住民への著しいサービス低下となることは明らかである。信書便法案が「民営化」の一里塚になることを懸念し、党は反対した。

  5. 最後に、日本郵政公社が国民・利用者の期待に応えられるような事業の構築をなし遂げ、多くの国民が望むユニバーサルサービスを維持できるよう、社民党も全力で取り組む。