2002年3月8日

人権擁護法案の国会提出にあたって(談話)

社会民主党 全国連合
幹事長 福島 瑞穂

一 本日、政府は、人権救済を行う機関として人権委員会を設置する「人権擁護法案」を閣議で決定し国会に提出した。政府案は、人権委員会の独立性をはじめ、諸外国の国内人権機関や国連パリ原則(国内人権機関の地位に関する原則)といった国際的な水準にほど遠く、到底容認できない。

一 政府案では、人権委員会は法務省の外局として設置される。しかし、法務省が所管する刑務所や入国管理局などにおける人権侵害の実態を見れば、人権救済を担う人権委員会の所管省庁として、法務省ほど不適格な省庁はない。人権委員会を各省庁から独立した第三者機関とするためには、政府全体の総合調整機能をもつ内閣府の所管とすべきである。

一 地域や現場での迅速な解決を図るためには、地方人権委員会を設置することが不可欠であるにもかかわらず、政府案では、法務局・地方法務局の人権擁護部門を改組する形となる地方事務所のみを設置するとしており、何ら人権問題に資することとならない。また、被害救済の機能を果たしていない人権擁護委員制度は、旧態依然のままであり、抜本的な見直しが求められる。

一 国際社会は、人権侵害や差別を受けた当事者やNPO・NGOなど市民参加の保障や、公権力による人権侵害への厳格な対応を求めてきたが、政府案では全く不十分である。また、メディアの人権侵害についてもより慎重な議論が求められていたが、政府案は、言論・表現の自由を不当に侵害しかねない内容となっている。

一 社民党は、早急に対案を取りまとめ、他党とも協力しながら国会に提出し、政府から独立した実効ある国内人権機関の創設に向け、全力を挙げる決意である。

以上